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2013. 6.21.Up Dated.
星野リゾート・リート投資法人の上場
 
 以前からREIT進出を検討していた星野リゾートが、投資法人を設立して7月12日に上場予定と発表されました。
上場時組成資産は6物件、150億円で、上場時の資産規模としてはスターツ・プロシード投資法人の77億円に次ぐ小規模となります。
投資対象は星野リゾートが保有する温泉旅館が中心で、旗艦物件は星野リゾートの顔とも言える「星のや軽井沢」です。
方法としては、暫く私募ファンドで運用してからREITへ衣替えという選択肢もあったと思いますが、REIT市場の上昇基調を見て、上場に踏み切ったと考えられます。
星野リゾートとしては、REIT市場に厚みが出て、新たな用途の投資法人も消化してくれるのではないかという期待からだと思います。

宿泊施設REITとしてはジャパン・ホテル・リート投資法人がありますが、必ずしも市場評価は芳しくはないので、新たな宿泊施設REITが加わるのは、この用途にとってはプラスになるかもしれません。
一方で、温泉旅館の稼働率はホテルと比べても低いので、低い稼働率でどの程度の収益を出せるのがポイントになりますが、星野リゾート・リート投資法人の想定ポートフォリオNOI利回りは8.3%/年と高めに採られていて、この利回りの高さで収益変動をヘッジする戦略のようです。
ポートフォリオNOI利回り8.3%は、REITでは最も高い水準なので、確かに将来収益が変動しても少なくとも6.0%程度は確保されるとも考えられますから、この点では競争力があるかもしれません。
但し、この資産規模ではREITとして一人前とは言えませんから、最低でも400億円規模までのシナリオが必要となります。
然しながら、外部成長をいくら頑張っても数千億円規模に達する可能性は小さいですから、必然的にターゲットは個人投資家になります。
その為に、将来は投資口分割によってNISA対象銘柄に加わることも、当然視野に入っていると思われますが、先ずは、上場し、資産規模を一定の規模にまで積み上げてからになると思います。
このように見ると、温泉旅館という新たな用途をREIT市場が飲み込める厚みがあるか否かも試されるとも言えますから、今回の上場には注目したいと考えています。


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