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2013. 4. 5.Up Dated.
日銀の緩和政策
 
 日銀の金融緩和政策が発表されましたが、REITの買入枠の増加は300億円/年となり、従前の資金枠に対して3割増しでした。
尤も、1,100億円の資金枠を設定した当時と今日では東証REIT指数で見ても倍近い上昇となっていますから、今の相場に対しては、従来よりインパクトは小さくなります。
何故、300億円なのかは分かりませんが、単純に考えれば、以前の目標は東証REIT指数1,000ポイントだったようですから、今度は1,300ポイントに上げたという事かも知れません。
それにしても、他の施策に比べると地味な感じがしますが、日銀は不動産が苦手なので余り無理をしないという考え方とも思われます。
不動産を下手に刺激して上昇させてしまうと、もうコントロールが利かなくなるのは、過去の例やここ数年の欧米例をも見ても明らかですから、無理をして大事になったら大変という判断かも知れません。
それでも、5日の東証REIT指数は反転して前日比5.2%上昇しましたが、結局3月27日の1,700ポイントには達しませんでした。
元々、1,700ポイントはバブル期の指数ですから、流石にここまで上昇させるのは憚れたのだろうと思いますが、これで個人投資家の大商いは終息に向かうかもしれません。
これ以上の上昇の可能性が小さくなれば、短期売買での鞘取りも難しくなり、逆に、従前と同じ売買高だと損を被るかも知れませんから、売買高は縮小に向かうと考えられます。
今回の日銀の施策も、投資市場は反応しましたが、実体経済に及ぶか否かは未だ分かりませんし、その波及効果も定かではありません。
今の時代は日銀がお金をだぶつかせても、金融機関の融資姿勢が大甘になる訳でもありませんし、借り手も返済の事を考えれば安易には借りません。
調子に乗って過去に痛い思いをしましたから、企業も慎重になりますし、個人も収入の伸びが確実にならない限り、借金して消費を拡大することはなさそうです。
日銀は今後も市場と対話するとは言っていますが、景気対策は投資市場だけで何となくなる訳でもありません。
確かに、かつては株高で不動産も売れましたが、今はそんな危ない行動を取る人も減っています。
逆に、円安によってネットショッピングは後退気味になっていますから、再び80円台前半までの円高にならない限り、個人の消費は盛り上がらないかも知れません。
マスコミは何だかんだと持ち上げていますが、そんな簡単な時代ではないという大局感がないのかもしれません。

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