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2013. 1.11.Up Dated.
投資銘柄の選別
 
 東証REIT指数が1,100ポイント台を維持しながらも、更に上昇傾向にあります。
東証REIT指数が1,143.93を示した1月7日の終値で見ると、上場37銘柄の平均予想配当利回りは5.15%/年になっていますが、私が選別した投資適格21銘柄の平均値は4.79%/年になっています。
この利回りは長期保有のインカムゲイン投資商品としては、どう評価すれば良いのかが気になります。
理論上の基準となる10年物長期国債利回りは0.825%で、スプレッドは4.00%弱ですからそれ程低いレベルには達していません。但し、今後3年超で見れば、国債利回りは少なくとも1.0%程度までは上昇するでしょうし、場合によってはもう少し上の水準まで達するかも知れませんから、長期判断でのスプレッドは既に3%台になっていると考えられます。
このように考えると、前述のREIT21銘柄の平均利回りが4.5%に近づくと黄色信号が灯るのではないかと思います。
次に平均値でなく個別銘柄を見ると、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の予想配当利回りは3%台にあり、長期で見れば、日本ビルファンド投資法人のスプレッドは2%位しかありません。
REITという仕組みで保有資産に一定の質が確保されている銘柄同士で、予想配当利回りに1%以上差があるというのは、本来は奇妙です。
そうは言っても、日本ビルファンド投資法人やジャパンリアルエステイト投資法人のような老舗銘柄は、機関投資家等が大量に保有していますから、仮に調整が必要になったとしてもそんなには下げられません。
逆に、今のような上昇局面では、利回りに関係なく更に投資口価格が上昇する気配すらありますから、一般投資家は別の視点でこれらの銘柄を見る必要があります。
REIT投資はインカムゲイン投資ですから、当然利回りが投資判断の最重要要素となります。
例えば、年金資金などは3%台の利回りでは不足でしょうが、それでも、これらの老舗銘柄に投資していると思います。その根拠は、安定性だとか健全性という事でしょうが、突き詰めると、それらは情緒的な判断の面が強いのです。強いて言えば、余り深く考えずに、皆が買っているからというのが本音だと思います。
仮定の話ですが、REITの上場全銘柄が投資適格になったとしたら、日本ビルファンド投資法人の投資口価格が100万円に近付くということはないと思います。
市場に投資不適格と思えるような銘柄が存在するから、トップ銘柄に上昇余地が生まれるとも言えます。
従って、私がセミナー等で説明している投資適格銘柄だけで見た場合は、利回りの判断が変わってきます。REIT指数が1,000ポイント以下の時は、そこまで考慮する必要はなさそうですが、1,100ポイントを超え、更に上昇しそうな局面では、もう一度各銘柄の判断を修正する必要がありそうです。

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