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2012.12. 7.Up Dated.
2013年のREIT環境
 
 東証REIT指数でみると、10月の日銀取得の勢いがそのまま継続していて、11月も続伸し、12月に入っても調整の気配はなく、年内は1,050ポイント前後で推移すると予想されます。
一方、現在は衆議院総選挙の選挙運動中で、投票の結果どの政党が政権を取るのか、又はどういう連立になるのかによっても、景気対策に変化がありそうです。
一部には、大盤振る舞いの景気対策に期待して強気の投資姿勢に転じている投資家も居るようですが、REITに関しては、仮に大型の景気対策が実施されても、それ程の規模にはならないと推測されますから、悪乗りの感もあります。
日銀のREIT取得枠も残余は200億円程度で、11月は実施されませんでしたし、恐らく12月も日銀のREIT取得は小幅乃至ゼロという見方になります。
それでも何とか相場を動かして、 短期売買によって利益を稼ごうという投資主体が居ますから、こういう時期の投資口価格の変動については冷静に見る必要があります。

但し、年明けからは政権の枠組みと景気対策によっては、相場が変動する可能性があります。恐らく、実際に景気対策が実施されるのは3月乃至4月頃であろうと思われますから、3月以降の相場の予測が難しくなります。
勿論、自民党が目標とするような2%の経済成長を実現する施策は簡単には見つかりませんし、悪くすれば反作用の方が大きいかもしれません。
極端な見方かも知れませんが、投資の世界では政治の問題や社会構造の変化には関心がなく、当面の投資利益確保が優先されますから、それに迎合した政策が実施されれば、社会的歪を増長させますが、それをも厭わない政策が登場するかも知れません。
公約実現の為にはなりふり構わないというムードも今の政党にはありますから、社会的懸念が残りますが、こういう政治状況では仕方ないとも言えます。
欧州の債務問題でもそうですが、不安定な政治状況は変化のエンジンにもなりますが、その結果は悲惨なことにもなりかねません。
流動的な時代にどういうかじ取りをして、何処までマイナス面を制御出来るかが政治の力量ですが、果たしてそれだけの当事者能力が今の政党にあるのかは疑問です。
政治の基本は「諸利益の分配」だとは言われますが、その背後にはリスクのコントロールがあります。分配のみに偏れば背後でリスクが増大し、その結果リスクが顕在化してしまうと、もう有効な手段がありません。
結局は、リスクを顕在化させない事が政治の要諦なのですが、そういう方向に向かうのか否かは不透明です。 その意味でも2013年は気になる年になりそうです。

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