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2012.11.30.Up Dated. |
投資口価格の見方 |
日々、REITの投資口価格が上下していますが、何を基準にして価格が高いとか安いと言うのか、意外とこれが簡単ではありません。 セミナーでもこの質問が多いので、少し考え方を整理してみようと思います。 先ず、REITが上場するときは、既に投資法人が設立されていて、その出資金は1口50万円になっている例が大半です。(上場前に分割して20万円/口になっている例もあります) そして、上場時はこの50万円/口を基準として公募を行い、50万円以下でのIPOとなればディスカウント、50万円以上になればプレミアムとなります。 上場後は市場取引によって価格は動きますが、基本は上場時と同じく、ディスカウント状態かプレミアム状態かという見方になります。 例えば、平成18年3月に上場したトップリート投資法人は、その後一時も増資していませんからシンプルな見方が出来ます。 トップリートのIPOは基準価格50万円に対して55万円/口でしたから、上場時の公募は5万円/口のプレミアムが付きました。(但し、投資法人の手取りは証券会社の手数料を差し引いた530,710円/口となります) 即ち、トップリートは5万円/口のプレミアム状態から出発し、その後市場評価の変遷によって投資口価格は上下し、今日では373,000円/口になり、元の基準価格50万円に対しては127,000円のディスカウント状態になっています。 上場時は10%のプレミアムを乗せてくれた市場が、今では25.4%のディスカウントを求めているという事になります。 これを投資法人側から見ると、先ず、市場での投資口価格が基準価格(50万円)に近づいて欲しいと考えています。 仮に市場価格が50万円に戻れば、最初の状態に戻った事になりますので、次の展開が可能となります。 このタイミングで増資すれば、悪くても47万円/口程度の増資価格になりますから、投資法人の手取りは45.6万円ぐらいになります。 所が、IPOの時の投資口簿価(増資総額/発行口数)は530,750円になっていて、これは現在も変わっていませんから、前述の増資の場合でも簿価に対しては15%のディスカウント状態になり、投資口の希薄化が起こります。 このように考えると、投資法人は、先ず、基準価格(投資法人設立時の1口当たりの出資額)比で市場価格を見る事になり、次に、投資口簿価比で見て、増資によって希薄化が起こるか否かをチェックします。 トップリートの場合は、投資口簿価>基準価格になっていますが、過去に希薄化覚悟で増資を実施した投資法人は基準価格>投資口簿価になっていますから、投資口簿価比だけで見ればハードルは低くなりますが、基準価格以下での増資を繰り返して投資口簿価を下げてしまうと、希薄化によって配当金を最初の水準(上場時)にまで戻すのは無理になります。 以上が投資口価格の説明ですが、ここで使った基準価格という数値は投資口を分割しない限り不変なので、最も比較しやすい価格なのです。 |
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