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2012.11. 9.Up Dated.
日銀のREIT取得
 
 10月末に追加の景気対策が発表されたことで、REITの枠は100億円が追加され、未消化分と併せて残余は約200億円となりました。
市場では追加景気対策の発表前に未実施分の消化が加速されると予想したようですが、実際に10月は7回のREIT取得が実施され、その額は合計140億円に達しました。
9月は1回で38億円、
8月はナシ、
7月が1回で16億円
だったことを考えると、10月は正に日銀がアクセルを目一杯踏んだ月だったと言えます。

日銀によるREIT取得は2010年12月から実施されましたが、REITの投資主としては日本トラスティ・サービス信託銀行名義になっています。
今年10月末までの決算発表による日本トラスティ・サービス信託銀行の保有比率は、投資口数比で16.7%(34銘柄分)になっています。
因みに、日銀の取得以前の日本トラスティ・サービス信託銀行の保有比率は12.3%でしたから、4.4%の増加になりますが、勿論これが全て日銀分だとは言えません。
然しながら、安定投資主と考えられ、市場での短期売買を繰り返さない投資家の保有比率が増えるのはREITにとっても本来の市場にとってもプラスです。
REITの大口投資主で信託銀行名義になっているのは、他にも、資産管理サービス信託銀行、日本マスタートラスト信託銀行があり、この3行の合計保有比率は約25%に達します。
これに野村信託銀行の保有分の5.9%を加えると、30%超となり、仮にこれらの信託銀行が市場での短期売買を行わなければ、REITの投資口は安定方向に向かうと考えられます。
こういう状況で、長期保有の個人投資家が増えれば、その他の安定投資主を加えて発行済投資口数の50%近くが頻繁に売買を繰り返さない事になりますから、日々形成される市場価格は、飽くまでも時価の算定に使われる価格という見方にもなります。
但し、実際には短期売買によって売買益のみを追求する投資主体も居ますから、客観的見ると、取引市場で形成される投資口価格は、銘柄評価の側面よりも単に売買の為の価格と考えられるようになります。
資産運用会社側にとっても、市場取引価格が銘柄の評価の全てを表すのではなく、別の視点でも銘柄の実力が計られる方が納得出来る面もあると思います。
更には、市場価格だけが全てではないと考えられるようになれば、株主割当増資の実施や自己投資口取得に対しても途が開けると考えられます。
現実は、未だそこまでの状況には達していませんが、今後も日銀の取得が継続されて、 長期保有の個人投資家の参入が増えれば、REITのシーンも確実に変わっていくだろうと考えられます。

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