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2012.11. 2.Up Dated.
大和ハウスリート投資法人の再上場
 
 4年前に上場を目指しながら、直前で断念した大和ハウスリート投資法人が再上場を行います。
IPOの調達予定金額は約500億円で、今年6月に上場したアクティビア・プロパティーズ投資法人の半分の規模となりますから、恐らく今度はエクイティを集められるだろうと思われます。
投資法人は、前回の上場断念後も存続していて、既に9回の決算を行っています。今回の上場では投資口は売出ではなく新規発行になっていますから、募集価格は基準価格に近い水準で収まりそうなので、穏当なIPOになりそうです。
今回の上場に際して集められた資産は物流施設19件、商業施設5件で約1,145億円(取得予定価格合計)ですが、前回は物流施設5件、商業施設10件で約1,001億円となっていました。
そして前回から引き継いでいる資産は商業施設の4件だけで、この4物件は現在の鑑定価格が取得価格を下回っていますから、収益的にはやや足を引っ張っている感があります。
一方、新規取得予定の物流施設は、ほぼ現在の市場価格で取得するようで、こちらが収益のメインになっています。
物流施設は日本ロジスティクスファンド投資法人が上場した時と比べると、今は価格が値上がりしていますから、日本ロジスティクスファンドのような高いポートフォリオ利回りは確保されていませんので、投資家はインカムゲインで投資判断をすることになりそうです。
大和ハウスリートは、基本的には収益の安定性を重視しているようなので、EPSの上昇よりは、分配金の安定性が投資判断のポイントになりそうです。
従って、IPOの価格次第という事になりますから、今年のREITの新規上場の趨勢から見ると、基準価格を若干下回った水準になるかも知れません。
恐らく投資法人側もそれは覚悟の上でしょうから、アクティビアブロパティーズ投資法人のIPO価格(46万円/口)以上であれば問題なく上場すると考えられます。
海外募集も予定されていて、新規発行口数の15%が海外での調達になりますが、この程度のシェアであれば何とか集められそうですし、海外投資家からのIPO価格の引き下げ圧力も高くはないだろうと想定されます。
一方、スポンサーである大和ハウスには、上場後も取得可能な資産(物流施設)が用意されているようなので、一定の外部成長も約束されていると言えますから、収益安定性を重視した追加取得を堅持し、PO政策を工夫すれば順調な成長も見込まれます。
但し、投資法人側がこのような考え方を持っているかは不明ですので、何れ資産運用会社の考え方をお聞きしたいと思っています。

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