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2012. 7.20.Up Dated.
決算説明会にて
 
 先日、ユナイテッド・アーバン投資法人の決算説明会に参加しましたが、説明終了後の質問の多さに少し驚きました。終了予定時刻になっても、質問する人が数人挙手する程でしたから、終了予定時刻前に質問が終わる決算説明会も多い中ではやや異例だとも言えました。
ユナイテッド・アーバン投資法人の資産運用会社は、6月に首脳陣が交代して若い人が中心になった事も、出席者の質問し易さに繋がったのかも知れません。何れにしても、決算説明会で活発な質疑応答が行われるのは好ましい事でから、こういう決算説明会が増えて欲しいと思います。
質問の内容を注意深く聴いていると、証券アナリストはどうやら現場の生の情報を知りたがっているようで、賃貸市場の現状やテナント動向等、一般に流布されていない情報を得たいという意図もあるようです。
又、この投資法人は総合商社系なので、不動産系の投資法人に比べると質問し易いという面もあると思います。 不動産系の場合は、証券アナリストを半玄人として見る傾向があるのと、元々情報開示に後ろ向きであること、そしてポジショントークが多くなる等の傾向がありますから、情報をそのまま活用出来ないという事があります。
ユナイテッド・アーバン投資法人の資産運用会社は、従来から情報開示には積極的ですし、現状を包み隠さず説明したという事も質問を誘発したとも言えます。
質問で多かったのは、やはりオフィスビル市場の現状についてですが、資産運用会社側からは、稼働率の底入れは年後半以降、賃料の底入れは来年後半ぐらいではないかと見通しが述べられました。
現在のREITのオフィスビルセクターは、ユナイテッド・アーバン投資法人が保有しているような中規模ビルでは90%程度の稼働率が多く、期待したパフォーマンスが出ていません。
質問者は、これがマクロ経済動向によって生じているのか、それとも2012年問題の影響なのかを切り分けしたいのではないかと思います。
最近の決算説明会では、賃料改定動向を説明する投資法人も多く、賃料値下げ件数や賃料減額率も開示します。これらはREIT以外からは中々得られない情報ですし、その信憑性も確かですから、市場情報としては貴重です。
このようにREITが生の情報を開示し、良い点も悪い点も事実をそのまま説明することで、お互いのレベルアップが進み、ひいては市場活性化に繋がります。
昨今REITに対する政策支援策が頻発していますが、活発な意見交換や質疑応答がオープンな環境の中で行われるようになる事が最も活性化に寄与しますので、決算説明会では質疑応答の多さを競うような環境になってくれる事を期待したいと思います。

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