コラムトップ
2012. 3.30.Up Dated.
REITの新規上場について
 
 2007年10月に産業ファンド投資法人が上場して以来、REITの新規上場が途絶えていましたが、4年半ぶりに新規上場銘柄が出そうです。 確定的な表現が出来ないのは、未だブックビルディングも始まっておらず、無事に新規発行投資口が消化されるか否かが分からないからです。
過去には、上場を発表しながらブックビルディング不調により上場を断念した銘柄もありますので、今回のケネディクス・レジデンシャル投資法人が無事上場果たすまでは仮定での話になります。
尤も、今回のケネディクス・レジデンシャル投資法人は資産規模が304億円で保有物件はレジデンス20件、公募総額は150億円程度なので、今のREIT市場の状態であれば、金額的には十分に消化される規模だと予想されます。
この投資法人は2011年11月15日に設立されていますから、4ヶ月程度で上場を発表しましたが、昨年末のREITの状況は厳しかったので、昨今の市場好転によって一挙に攻勢に転じたのだと思います。
スポンサーとなるケネディクス(株)は、既にケネディクス不動産投資法人(2005年7月上場)を設立し、また日本ロジスティクスファンド投資法人(メインスポンサーは三井物産)にも参画していますから、REITでは3銘柄目の上場となります。
目論見書を読む限りは、上場済の投資法人と特に異なった点はなさそうですので、投資家にとって気になるのは保有資産の内容と収益安定度だと思われます。
また資産規模から見ると同じくレジデンス専門銘柄のスターツ・プロシード投資法人の現在の資産規模と同じ位でのスタートで、発行投資口の基準価格も同じ20万円/口ですから、スターツ・プロシード投資法人のように投資家の主たるターゲットは個人投資家になるであろうと予想されます。
引受証券会社はSMBC日興証券他5社ですが、約150億円のエクイティ募集にどの程度個人投資家を集められるかも注目です。 募集価格がどの程度になるかは分かりませんが、前述のスターツ・プロシード投資法人(基準価格20万円/口)の投資口価格は基準価格の60%弱の11万円台/口で推移していますので、20万円前後の募集価格はややハードルが高そうに思えます。
従って、万一ブックビルディングの価格が11〜12万円程度になってしまった場合は、上場中止という事態も考えられますので、引受証券会社の力量も試されそうです。
現時点では予想配当金は不明ですが、昨今の状況からみると、最低でも年率5.5%程度の配当利回りは必要だと考えられますので、これらの要素によって上場の可能性が変化すると考えられます。
但し、REIT全体から見れば新規上場は市場活性化に繋がりますから、首尾よく上場されることが期待されていると言えます。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.