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2012. 1.27.Up Dated.
投資信託の退潮
 
 かつて、REITの安定投資主として投資信託が期待されていました。また個人投資家の代替機能として投資信託を挙げる投資法人もありましたが、今ではそれらの見方も後退せざるを得なくなっています。
東証発表の売買動向では、2011年トータルでは口数は買越しになっていますが、売買金額では125億円の売越しになっています。また、月別の売買口数動向では2011年9月から4ヶ月連続で売越しに転じていて、最早REITが期待していたような投資家ではなくなっています。
REITは決算期が異なっている為に、毎月分配型の投資信託ではREITの分配金を配当原資にする為に積極的にREITを購入したという経緯がありましたが、運用成績の低下と伴に、投資先からの配当金だけでは毎月の分配金成績が低下してしまうので、保有分を売却して売却資金を分配金に充当する、所謂タコ足配当が横行している事に依ります。
投資信託のタコ足配当については以前より問題視はされていましたが、目先の配当金に釣られて投資信託を購入する人も多く、中々改まりません。また、投資信託の窓販を始めた銀行なども、当初は扱う商品に対して慎重な姿勢でしたが、今はかなりルーズになっていて、タコ足配当の投資信託を平気で売っています。
このタコ足配当は、言うなれば手法はマルチ商法と同根だとも言えなくはありません。
購入者に正確な情報を与えず銀行などが窓販をしていたとしたら問題ですから、金融庁も、漸く規制に乗り出したようです。
今日、上場投資商品でインカム型ではREITの配当率が上限ですが、これをも上回る配当率を出す投資信託を、何の疑いもなく勧めるというのは良識を問われます。
銀行は手数料商売だから当然だという考え方もあるようですが、銀行の窓口販売を解禁した当初の懸念は何時しか忘れ去られてしまったようです。
既に、証券会社、金融機関を含めて何でもアリという方向に向き始めていますし、マスコミもこれを大きく取り上げたりしませんが、元々、組織を性善説で捉える事が問題なのです。
そして、当局がその間に立つという仕組みで事を進めれば、行政費用は嵩んでいきます。
本来は、売り側に中立情報の提供を義務付け、恒常的に客観情報が提供される仕組みを用意させて、コストを民間に負担させるべきなのです。
行政当局も後追いをするだけでなく、仕組みを整備させてから認可するという方向にそろそろ切り替えるべきだと考えます。

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