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2011.12.26.Up Dated. | ||||||||||||
オフィスビルセクターについて | ||||||||||||
直近のオフィスビル専門銘柄の投資口価格が下落しており、12月22日の投資口価格は次のようになっています。
日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人以外の銘柄の価格を見ると、既にオフィスビルセクターの優位性はなくなっていると言えます。 また、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人についてもこの価格水準で止まるという保証はなく、年内はもう少し下がるのではないかと考えられます。 こうなると、この先はどうなるのかと言う不安がありますが、冷静に見ればREITにとって必要な調整が行われつつあるという見方が出来ます。 それは、合理的根拠の乏しい市場評価に乗って市場を拡大してきた後始末だとも言えます。 常に投資口価格でREITをリードしてきた日本ビルファンド投資法人もジャパンリアルエステイト投資法人も、客観的に見れば他銘柄の倍の価格という根拠は乏しかったのです。 REITという同じ仕組みであれば、銘柄間格差は保有資産の質と資産運用能力によって生じますが、このうち資産運用能力は銘柄間で大きな格差はありませんので、保有資産の質だけの評価で倍の価格という考え方は不自然です。 資産規模についても、日本ビルファンド投資法人が8,000億円超、ジャパンリアルエステイト投資法人が7,000億円超になっているものの、単一セクター故にボラティリティを抑止する効果が小さくなっています。 元々、日本のオフィスビル賃貸市場は、米国のような地域分散機能が働き難い市場構造になっていますから、資産規模を拡大してもボラティリティの軽減には一定の効果しかありません。このような問題はREITの初期から指摘されていましたが、一時それが忘れ去られていた感があります。 誤解されては困るので敢えて書きますが、オフィスビルセクターに可能性がない訳ではありません。今後も重要な投資セクターの一つである事には変わりありませんし、REITの保有資産としてマストアイテムでもあります。 但し、万能ではないので、欠点を補う方法も考えなくてはならず、それは単純に資産規模拡大では済まないという事です。また質の高いオフィスビルさえ保有していれば、資産運用で楽が出来る訳でもありませんから、常に模索しながらの資産運用が求められます。 こう考えると、今日の状況はどの銘柄も安穏とはしていらませんし、資産運用もシビアに考えなくてはなりませんが、これはREITの将来にとってもまた投資家にとっても決して悪くはなく、寧ろここを乗り越えてこそREITの価値が高まるだろうと言えると思います。 |
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