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2011.10.28.Up Dated.
不動産ファンドフォーラム
 
 10月20日に綜合ユニコム主催「不動産ファンドフォーラム2011」があり、参考になりそうな講演を聞きに行きました。時節柄このような催しの参加状況はどうだろうという興味もありましたが、前回と同じ集客があったようでそこそこに盛況でした。
但し、受講者の顔触れは少しずつ変化しているようで、一時のファンド全盛時代に見られたように、ファンド関係者一色ではなくなっています。
また講演内容もかつてのように勇ましい内容ではなくなっています。元々ファンドブーム時はスキルやノウハウではなく、単に時流に乗っているだけですから、全盛時の講演よりは質的に勝っていると言えます。
主催側の話によると、全講演の中でJREITのパネルディスカッションが一番人気だったようですが、今のJREITの状況を反映してか内容的にはやや盛り上がりを欠きました。

そういう中でも興味を惹かれたのは、海外投資家や海外資金の流れを解説した講演です。特に、CBRE GLOBAL INVESTORSの藤田社長の講演が、豊富な最新データを提供しながら直近動向の解説がありましたので、大変に参考になりました。
REITという仕組みは現在世界の24ヶ国にあり、今後も増える予定ですから、何れはグローバル投資商品としての地位を確立するだろうと考えられます。そして不動産投資では分散が必須ですので、REIT投資では国別分散が行われますし、更に相関性の低い国の不動産に注目が集まります。
こういう視点で見ると、日本の不動産は欧米との相関性が低く、分散対象として有力ですが、グローバルに見ると、日本市場にはいくつかの参入障壁があって、現実にはグローバル投資が活発化していません。
尤も、グローバル投資資金が一挙に流れ込むと、欧米のような不動産バブルを招きますから、単純に資金を流入させる訳にはいきませんが、閉鎖的な市場を放置することも出来ませんから、今後の政策や市場開放の動きが難しくなります。
欧米の状況を見ると分かるように、不動産バブルはマクロ経済に深刻な打撃を与えますし、その後始末には膨大な税金を投入することになりますので、政治的に見ると最も重要な施策対象です。然しながら、日本の政治家は余りこういう視点を持たないようで、不動産政策というと住宅ローンしか頭に浮かばないようようですし、業界団体は不動産会社だという認識しかありません。
このコラムでも何度か触れましたが、消費もネットを通じてグローバル化していますし、投資家の動向も同じです。 既に時代はそちらに向かって動いていますので、もう少し政治も追いついてきて欲しいと思います。

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