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2011. 7.22.Up Dated.
不動産取引の活性化策
 
 ようやく民主党も震災対策以外の政策にも目を向け始めたようで、既存住宅流通促進ワーキングチームなるものを発足させ、不動産仲介手数料の見直しや住宅瑕疵保険の創設等を検討するようです。
以前より、外資等からは日本の不動産仲介手数料は高いという指摘があり、大幅に値切られるケースもあるので、いっその事制度を撤廃してガイドラインに変えて、自由化してしまう方が簡単だと思います。また、住宅瑕疵保険が流通促進策となると考え方は、相変わらず本質からは離れています。
元々、官僚主導での策では限度がありますし、取り敢えず出来そうな所から手を付けるという程度では不動産流通の促進策としては大した効果がありませんが、何もしないよりは良いというのと、活動しているという自己満足にはなりますから、関係者にとっては意義あることなのだと思います。
中古住宅の流通促進策の本質は、流通価格の透明性と情報の徹底開示にあることは、ヤフーオークション等を見れば明らかです。取引には売り手と買い手が価格感のマッチングが大前提ですから、中古不動産の取引価格を全て開示し、誰でも容易に検索出来るようにすることが必要です。
現在、同種の不動産がいくらで取引されているのかが分かれば、自ずと取引が成立する価格に収れんしていきます。(不動産仲介で言う、出し値、査定値、決まり値等というややこしい価格が無くなります)また、デベッロパーにとっても完成在庫の放出価格の目安にもなりますから、流通価格が公表されることはメリットがあります。
本来、こういう事はもっと前から実施していなければならないのですが、不動産業界の反対で実現せず、今日まで至っています。
また、瑕疵保険というパッシブなアフター対策だけに頼るのも考えものです。
不動産のような高額取引では、先ず、正常取引が可能である前提が必要ですから、事故が起こった後だけの対策では流通促進の効果は弱くなります。
この意味では、日本では定着しませんでしたが、米国の制度にあるエスクローを再検討する時期に来たとも言えます。
仮に、エスクローが定着すれば、不動産のオークション取引が可能となりますから、もっと手軽に不動産を売買することが出来ます。
不動産業者も周旋業という手数料商売ではなく、不動産のプロとして不動産の相対的品質や劣化度を調査する業務の方がまともな商売だとも言えますから、エスクロー業務に向かえば良いのです。
要は、不動産取引を根本から見直すという発想から始めないと、一時凌ぎ策を永遠に続ける事になりますが、逆に、それで自分達の仕事が確保されるという人達も居ますから、簡単には事が運びませんが、そろそろいい加減な事でお茶を濁すのではなく、真面目に長期の視点で考えるようになって欲しいと思います。

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