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2011. 5.20.Up Dated.
この先の社会
 
 福島原発がやや落ち着いてきたようですが、収束までは未だ時間を要すようで、完全に危機が去った訳でもなさそうです。
また震災の景気への影響が大きく、今後も尾を引きそうですが、こちらは日々の生活や行動から何となく理解できます。
夏に向けての節電対策には関心が高くなっていて、家電量販店のエアコン売り場は以前に比べて人が多く、扇風機の需要も伸びているようです。私の周囲でも同様で、知人がエアコンを買い替えたり、扇風機を購入したりしています。
また若い人の感覚が震災前とは変化しているようですが、若い世代がこういう情報を発信する機会は限られていますので、こちらはアンテナの感度を上げないとキャッチ出来ません。
これと同じような状況が過去にあったかと考えると、私の経験では見当たりませんが、強いて探せば、事象は異なりますが1964年の東京オリンピック前かなと思います。

何れにしても気になるのはこの先の事ですので、景気回復時期やマクロ経済動向予想も出されていますが、何となく虚ろに響く感覚があります。
それでも先を考えるのが私の仕事でもありますが、客観的なデータがある訳でもなく、予想モデルもないので、感覚的洞察力だけが頼りになります。
そこで今は、一つの前提を置いて考えるようにしています。
それは、「震災前と震災後は同軸上の連続ではない」という事です。
然しながら、必ずしもそう考えている人が多い訳でもなく、依然として震災前の感覚と価値基準で動いている人も居ますから、世の動きはそう簡単には分かりません。
但し、先を予測するには一つの前提を置かなくては組み立てられませんので、私は「この先の社会は質的な変化を起こす」という前提で考えるようにしています。
かつての不動産バブルの最盛期の時、仕事仲間との間で「恐ろしい事が起こる」という予測で一致し、暗澹たる気持ちで家路についた事を思い出しますが、今回はそれとは逆に希望があります。
不幸な天災に見舞われましたが、若い人がボランティア活動等を通じて、積極的に社会と関わっていますし、諸外国からの支援により、日本が国際社会からどう見られているのかもおぼろげながら理解出来ました。
果たしてこれらの経験がこれからの日本をどう変えていくのか定かではありませんが、 少なくとも震災前とは異なった時代が来ると考えています。
暫く活動を休止していたセミナーを6月から再開する予定で、今後は今までとは異なった時代が徐々に進行するという前提で、分析や評価を積み上げていこうと考えています。

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