コラムトップ
2011. 4.29.Up Dated.
投資口価格の動き
 
 3月11日の東日本大震災の影響を投資口価格の動きで見ると次のようになっています。

<グラフ1; 日本ビルファンド投資法人の投資口価格と出来高>

(グラフをクリックすると拡大します)


<グラフ2; ジャパンリアルエステイト投資法人の投資口価格と出来高>



グラフ1、2は、3月1日〜4月27日までの出来高と投資口価格の動きを示したグラフです。
ご覧のように3月11日(金)の翌週は平常時の2倍の出来高になり、投資口価格も急落しています。 然しながら、約1週間後には投資口価格は従前の水準近くまで戻していて、出来高も2週間後に落ち着きました。
また、日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人は時価総額が大きいので東証REIT指数への影響も大きくなりますから、東証REIT指数で見ても似たような傾向を示しました。

<グラフ3;東証REIT指数の動き>



グラフ3では、大震災の翌々週には従前並みの水準に戻していますし、指数を大きく下げたのは震災後の4日間だけでした。

これらのデータを見ると、震災の影響は一時的、且つ、限定的だとも言えますが、取引の実態を見ると楽観は出来ません。
実は売買動向を見ると、REITを買い支えたのは外国法人であって、国内投資家ではなかったという点です。 震災の翌週に狼狽売りをしたのは個人投資家を始めとした国内投資家のようですので、仮にREITが国内投資商品であったなら狼狽売りからスパイラル的に下がった可能性があります。
一方、海外投資家は国内投資家の思惑とは異なり、事態を冷静に見ていて投資口価格が下落した時点で買いに入ったようです。これには、投資家としての計算もあると思いますが、危機的状況に入った日本の投資商品を感覚だけで投げ売りしないという節度もあったと思います。
これらの事で全てを語るのは早計ですが、日本の投資市場は国内派の多くは烏合の衆であり、海外が冷静で合理的な判断を行う投資家だという見方も出来なくはありません。
福島原発の例でもそうですが、国内は感情的、且つ、情緒的な対応が目に付きますが、海外は比較的冷静な報道が多いようです。 この事は若い人に是非知ってほしいと思います。
今の日本の中心を為している人たちは、グローバル・スタンダードから見ると、烏合の衆に他ならないのかも知れないのです。それは、政治家やマスコミに蔓延している可能性があって、風潮を易きに流れる方向へ持って行っているのではないかと思います。 勿論、岡目八目という事もありますが、今回の震災では日本の実状、美点・欠点などが炙り出されたような気がすると同時に、海外からの支援を通じて、改めて海外の日本に対する見方を再認識出来た気がします。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.