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2011. 4. 8.Up Dated.
日本の転轍期

 東日本大震災前はREITの投資口価格は順調に続伸していましたが、震災後の3/14から下げ始め、東証REIT指数では一時期1,000ポイントを下回りました。その後再び1,000ポイントを超えて推移していますが、震災前の勢いは未だ見えません。
REIT各銘柄にとっては、投資口価格の水準より増資環境が整う方が重要ですが、資本調達がスムーズに行える状況になるのはもう少し時間が掛かりそうです。
これはREITだけでなく株式市場も同じだと思いますが、今の状況では個人投資家の活発な動きが期待出来ませんから、金融機関からの借り入れによる間接金融にシフトする傾向になっています。
そこで気になるのは今のムードがどの位続くのか、そして消費マインドが戻り、投資家も活発に動き出すのは何時頃になるのかということです。
然しながら、この予測は難しく、現段階では占いのようになってしまいますから、仮に増資を検討している銘柄があっても、暫くは様子見となり、早くても今秋以降にならざるを得ません。
不確定要素の中で最初のハードルは今夏の計画停電の実施状況になりそうですが、これを無事に越えるまでは、人心が落ち着かないのではとも思います。仮に、今夏の計画停電が大きな混乱なく終えたとすれば、次は福島原発の状況次第になりそうです。原発の放射能リスクが完全に払拭されるには、もう少し長い期間が必要のようですが、取り敢えず冷却能力が回復し、周辺の避難区域が狭くなる等の措置が採られるまでは、この問題は常に下向きの圧力となります。原子力というかなり難しい専門分野の事ですから、これを咀嚼して見通すことは難しく、やはり時間とトラックレコードが決め手になりそうです。

一方、こういう時の政治のリーダシップは重要です。 桜の季節に入って、宴会自粛の看板が掲出されましたが、庶民の行動にまで関与するのは江戸時代の頃に戻ったようで、行政側が市民の行動を手取り足取り指図するのは封建時代の感覚を捨てきれないせいかも知れません。余り深く考えずに、事なかれ主義で行動するのは役人の常ですが、こういうのをコントロールするのは政治の役割です。人がどういう行動を採るべきかを、公序良俗に反しない限り他人が指図するのは行き過ぎですが、これを平気でしてしまうのが、行政の愚かさでもありますから、政治がこれらを規制して、世の中が順回転に入るようにしなければなりません。
そうは言っても、政治は相変わらず、権力争いがメインで、些末な問題で十分な力が発揮されていません。こういう時期に汗を搔かない政治家も政党も無用ですが、野党は果たして何処までその感覚を持っているのか分かりません。尤も、案外実態は力がないのかもしれませんから、それも夏あたりには明確になると思います。
こう考えると、今夏以降が日本の転轍期になるのではないかとの予測も出来ます。勿論、良い方向に向かうことを期待していますが、それには何らかの変革が伴うような予感がします。

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