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2011. 2.21.Up Dated.
若者のムーブメント

 チュニジア、エジプトと動乱が起こり、イラン、バーレン、イエメンに飛び火しているとの事です。
この動乱は民衆が民主化を求めてのデモが引き金になっているとの報道で、日本のような民主国家では対岸の火事という見方になっているようです。
然しながら、この動乱の根底には鬱積した若者の不満が噴出した事で生じたようですから、決して日本も無縁ではなさそうです。
日本も若年層の失業率は高まっていますし、将来の展望が描きにくくなっていますから、このまま鬱積すれば同様の事態が起こる可能性もあります。
それに団塊の世代が通り過ぎつつある今日では、考え方や文化にメジャーが無くなり、価値観も多様化(拡散化とも言える)しています。
拡散が始まれば、エントロピーの法則によって小さな塊が生じますが、それはサブカルチャーと呼ばれる若者の文化に形を変えているようにも思えます。
一方の私の世代は、このサブカルチャーに疎く、眉をひそめるしか能がありません。
秋葉原を歩けば、メイド喫茶の客引きが沢山いますし、喫茶店では若者がトレーディングカードを見せ合ったりしています。これらのオタクと呼ばれる若者が一体何を思い、何を感じているのか私には分かりませんので、これで良いのであろうかと自問自答する時もあります。
拡散によりサブカルチャー化した文化とは何処へ向かうのか、何を作り上げるのか、それとも漂流するだけなのか、考えても答えが出ません。
既に通り過ぎつつある団塊の世代の一員である私にとって、これらを理解することは必要だとは思いますが、その方法論が見つかりません。メイド喫茶に入るのも憚れますし、ライブハウスに通う事も出来ませんから、肌に触れる方法がありません。
勿論、これらが若者の全てではありませんが、学校を出て会社員になるのは自分の経験からある程度予想が付きますから、こちらは理解の範囲内です。
そうではない若者が増えていますから、そちらに目を向けなければ、世の中を理解することが難しくなります。
60年以上生きても世の中は分からないことが多いですし、過去の繰り返しではない現象をどう考えどう読むかは私にとって重要な課題です。
世の中のムーブメントを知り、その方向と引き起こされる現象を読み解くのは、仕事人の必須要素ですから、必ずしも私の世代だけの課題ではありません。
今日の中心世代にあって、既得権を持っている50代・40代にとっても考えなければならないテーマだと思います。

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