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2010.10. 1.Up Dated.
REITの物件取得機能

 REITの外部成長は、一時に比べれば依然として低調ですが、それでも少しずつ物件取得の動きが出始めています。
最近の取得で目立つのは、ポートフォリオNOI利回りの上昇を図る為の外部成長になっていることで、REITも漸くこの数値を強く意識するようになったと思われます。
個別の取得例を見ると、その想定利回りは地元相場ではなく、未だ東京の相場観で設定されている感がありますが、これが必ずしも悪いとは言えません。
不動産の目線だけで見れば、地元相場の範囲で極力有利な取得を心掛けるべきですが、REITはポートフォリオで勝負する投資商品ですので、個々の物件利回りよりもポートフォリオの数値が重視されます。
従って、不動産屋のように必ずしも買い叩いて取得する必要もありませんので、自己のポートフォリオを見ながらの利回り設定が可能となります。
この事を曲解して、スポンサーから敢えて高く買うような事になっては困りますが、現在のように不動産取引が低迷しバルク買いの需要しかないとも言える状況にあっては、REITの取得例が標準値になることで、不動産価格の下落を防ぐことに繋がります。
特に地方都市での物件取得にはその効果が高く、底が見えない状況を救う可能性もあります。
これはREITに期待されている機能の一つであって、不動産価格の下限と上限を示すことになり得ます。
また、REITが正常に機能すれば、不動産価格の振れ幅を小さくする可能性があり、マクロ経済に対しても有効な働きを持ちます。
これが、一昨年よりの政策的支援措置の理由であり、漸くその効果が出始めているとも言えます。

一方で、REITがポートフォリオを意識した取得を行なうようになると、不動産鑑定価格というものが大きな意味を持たなくなる可能性があります。
不動産鑑定は個々の不動産だけを見て価格を査定するだけですから、ポートフォリオという概念は入りません。
従って、不動産鑑定ではNOI利回り3%/年という物件価格も存在し得ますが、REITでは、このような低利回りの大型物件を取得する事は不可能だとも言えます。
逆に、地方都市の不動産の不動産鑑定では、恐らくREITの取得利回りより1%程度は高い利回り(価格は低くなる)になるケースもあるでしょうが、敢えてそこまで低い価格で取得しなくても良いという場合もあります。
REITは永遠に外部成長を行わなくてはならないのですから、買い叩くような取得をすれば、物件取得のパイプラインが細くなってしまいますから、良識的な取得を続ける事に合理性があります。
投資家も、REITの外部成長をこのような視点で見れば、よりREITを理解することに繋がるのではないかと思います。

 
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