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2010. 9.24.Up Dated.
REITと個人投資家

 REIT上場38銘柄の中で、時価総額1,000億円以下の銘柄が28銘柄あります。
時価総額の大きさは投資家の範囲を限定してしまいますから、大口投資家の対象になるREITは10銘柄程度という見方も出来ます。
従って、これ以外の銘柄は、個人投資家にフォーカスしなくてはならないのですが、相変わらず、大口投資家廻りが主流のようです。
資産運用会社の責任者等が交代すると、先ず、地銀等の大口投資家に挨拶に行くようですが、一方個人投資家にはHPに告知する程度で終わっています。果たしてREITの資産運用会社はこれで良いのでしょうか。
投資法人にとって最も重要な位置を占めるのは投資家ですし、中でもメインになる個人投資家に対してどのような活動を展開しているかについては説明義務がありますし、実効性についての検証も必要です。
然しながら、この事についてしっかりと言及している銘柄はありませんし、決算説明会でも証券アナリストからこういう指摘があることは、先ずありません。
これは日本の企業文化にも関係していて、REITの運営者は、大半が大企業出身者や出向者で占められていますから、本質的な議論を避けて通る風潮があります。
方法論が難しいとか、有効なアプローチ手段がないという言い訳は良く耳にしますが、言い訳は資産運用報酬の対象にはなりません。
この事については、もう10年近くREIT関係者に訴え続けていますが、REITの対応は遅々として進んでいません。

これでは、もう個人投資家の方から動くしかありません。
時価総額が低く、投資口価格も低迷し、個人投資家対策に必死になっていない資産運用会社を起用しているような銘柄は、この先余り見込みがありません。
勿論、中にはその気持ちがあっても、金融機関対策に追われて手が回らないという弱小銘柄もありますが、そこまで追い詰められていない銘柄もいくつもあります。
こういう銘柄の中には、自らで考え行動はせずに、他銘柄の動向を見ながらというサラリーマン根性だけで判断している所もあるようです。
具体的に何処であるとは言いませんが、こういう状況であれば、個人投資家は賢く判断する必要があります。
個人に対して積極的に働きかけてこない銘柄は、市場全体が浮揚するまでは良くなる可能性は小さいと考える事が出来ます。
又、背景にそれなりのスポンサーが付いていても、投資口価格が低迷して増資が出来ない状態では、何れデットも詰まってきますから、パフォーマンスも低下しますし、必要な外部成長も出来ませんので、ジリ貧は目に見えています。
こういう銘柄を除外していくと、案外REITの銘柄選びはシンプルになるかも知れませんので、そろそろこういう視点を重視しても良いと思います。

 
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