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2010.1.15.Up Dated.
エルシーピー投資法人について

 東京グロースリート投資法人とエルシーピー投資法人(LCP)の合併予定が発表されたのは昨年11月でしたが、その直前に行われたLCPの決算説明会では、当面の資金繰り対策として合併を視野に入れているとのニュアンスの説明がありましたので、合併そのものに意外感はありませんでした。
以前LCPへ、スポンサー体制のリストラと強化、保有資産のリストラのアドバイスをしたこともありましたので、方向感としては間違ってはいないと思います。
但し、合併相手が東京グロースリート投資法人になったのはやや意外でした。
これはLCPの投資家も同じ思いだったのかも知れません。
その為かどうか、1月8日開催の投資主総会では大口投資主の事前の同意が得られず、合併案否決の可能性が発表されましたが、当日無事可決されました。
細かな経緯については発表されていませんので不明ですが、私の憶測では、大口投資主も合併そのものに反対した訳ではなく、合併相手と合併内容に不満があったのでないかと思います。
投資家から見れば、出来ればもっと強力な投資法人との合併を期待していたと思いますし、合併効果を上げるためにも、合併比率を他の合併案件のように大きく取りたい(被合併投資法人の比率を小さくする)という希望があったかも知れません。
特に、合併により生じる負ののれん代が大きくなれば、合併後の資産売却が容易になりますし、一時的な減益に対する対応も取れます。
これらは、短期的にはLCPの投資家には不利ですが、リストラによって健全度が向上すれば、投資口価格の上昇も期待できますから、中長期的にはメリットがあります。
昨年発表された合併案件の中で、合併比率が最も大きく取られているのは、ビ・ライフ投資法人とニューシティ・レジデンス投資法人との合併で、1:0.23と発表されています。
これにより、ビ・ライフ投資法人の投資口価格が大きく上昇しましたので、こういうケースを見れば、LCPの投資家も期待すると思います。

またこのような事例が出たことで、今年も予想される合併に少なからず影響を与えると考えられます。
投資法人の合併では、最も効果が高いのが垂直合併で、しかも逆さ合併(アドバンスと日本レジデンシヤルの合併が該当する)で、水平合併の場合は強者同士の場合に限ります。
一例を挙げれば、仮に日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人が合併すれば1兆円ファンドが誕生しますから、これはより強力な投資法人になります。
その次善としては投資口価格50万円前後の投資法人3銘柄程度が合併するのも面白いと思います。
これらは、合併後に資産売却の必要性が薄いですから、負ののれん代も大きくは必要ありませんので、ポートフォリオの分散が高まることで個々の保有資産のパフォーマンスのボラティリティを吸収し易くなります。
こう考えると投資家にとっては、合併はウェルカムですが、資産運用会社は簡単には割り切れません。
合併後の体制で、どちらが主導権を採るのか、重複するポストをどうするかという問題も生じます。
従って、資産運用会社にとって敢えて合併に進むのは、それなりの逼迫した事情が必要となります。
又、それと同じようにデットサイドに立つ金融機関も同じような事情を抱えますが、本来REITは投資家の為の仕組みですから、投資家の最大利益を追求して動くのが本筋です。
その意味でも、今年はこの前提を十分に認識し具現化しようとする合併が続くことを期待したいと思います。

 
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