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2009. 8.21.Up Dated.
再びニューシティ・レジデンス投資法人の件

 新聞報道によると、ビ・ライフ投資法人がニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)の再建計画について、大口債権者と一緒になって新たな案を裁判所に提出したようです。
内容的には、ローン・スター・グループによる再建計画よりは投資主・債権者双方に有利になっているようで、合併比率算定の価格が4.0〜5.5万円/口と報じられています。
NCRの第6期末(08/02期)時点の投資口簿価は537,859円/口でしたから、簿価の約1割が合併に際しての基準価格となります。
NCRの投資主にとっては、ローン・スターのTOBとは違って、ビ・ライフ投資法人の投資口と交換されますから、合併によってビ・ライフ投資法人の投資口価格が上昇したり、配当金が上昇したりすれば、その恩恵に浴する事が出来ます。
但し、問題はこれから先の展開で、ローン・スター・グループに代わって大和ハウスとビ・ライフ投資法人がスポンサーに決定するのか否かです。
大勢としては、大和ハウスとビ・ライフ投資法人側が有利ですが、ローン・スターがすんなり引くとは限りませんから、未だ予断を許しません。
また、合併に際しての会計処理も注目の一つです。
合併によってNCRの「資本の部」が切り下がりますから、「資産の部」の減損が発生します。
但し、合併に際して「負ののれん代」を計上する事もありますから、どの程度保有資産の減損を行うかも焦点の一つです。
日本レジデンシャル投資法人とアドバンス・レジデンス投資法人の合併では、双方とも上場会社ですから、合併に際してのれん代を計上するでしょうが、非上場のNCRをどのように扱うかはREIT関係者も関心が強いと思います。
恐らく、ビ・ライフ側は合併後の詳細なシミュレーションをしていると思いますが、これらが明らかになるのは、未だ先です。
一方、私から見れば、再建計画の細かな数字にも関心はありますが、それよりもNCRの再建が透明な環境の中で進行する事に意義を感じています。
ローン・スター・グループによる買収では、透明性は担保されませんが、ビ・ライフとの合併であれば、市場監視の中で行われますから、REITにとってはベストな再建だとも言えます。
NCRが破綻した昨年10月時点に、私は旧社長の藤田氏に電話し、クリアーな状態での再建をお願いしましたので、その意味でも大和ハウスとビ・ライフ投資法人との合併を支持したいと思います。
 
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