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2009. 7.31.Up Dated.
個人投資家セミナーについて

 昨日開催された個人投資家セミナーは盛況のうちに終了しました。
このセミナーを既に5年間続けていると、色々なことを感じます。
説明する資産運用会社の方々も、慣れてくると個人投資家に合った説明が上手ですが、そういう技術的な面だけではなく、資産運用会社の代表者の人柄もアピールポイントになります。
REITというのは不動産の集合体になっていますが、実際にどのような人がどういう思いで運用しているのかは投資家にとって大変重要な要素です。
REITの資産運用実務は地味な仕事の積み重ねですし、私募ファンドのように転売によって一挙に利益を出すという事もありませんから、目から鼻に抜けるような人材よりも、この仕事が好きで地道に努力するタイプの方が適していると言えます。
機関投資家等は、鋭敏な頭脳を持ち明確な説明をするタイプを好むようですし、海外投資家も同じような見方をするようですが、このような人材は不動産が上昇基調にある時は力を発揮しますが、低迷期では概して精彩を欠きます。
REITは、株式のようなキャピタルゲイン投資ではなく、インカムゲイン投資ですから、投資家から見れば機会を上手に捉える人材よりも持続力のある方が安心出来ますし、リスクが高まる低迷期を乗り越えてくれる人の方が頼りになります。
投資の観点で見れば、上を求めるか、下を支えるかの違いになりますが、この視点の相違を明確にしないとREITの見方が難しくなります。
証券アナリストは、大半が株式の不動産セクターと一緒にREITを見ていますので、両者の違いを理解していないと見誤ることにもなります。
私の仕事は分析を主としていますから、大半は数字で各銘柄を見ていますが、最も重視するのは、やはり人材面や人柄という要素です。
特に私のような立場の人間は、REITの方々にとっては出来れば余り話したくない、接触は最小にしたいと考えているだろうと思いますが、会って話すとその人柄に直接触れる事が出来ます。
逆に、親しくなったり気があったりするようになると、中々相手の人柄を客観的には見られなくなります。
こういう対人関係を了として仕事をするのには、独立した立場でないと難しいですし、そういう環境を受容出来るタイプでないと悩むかも知れませんが、一方で、会って話す度に新しい発見がありますから、これはこれで結構楽しいものです。
投資家セミナーのような公式な場で話す内容もさることながら、楽屋裏での会話も大変貴重です。
個人投資家セミナーの最後にパネル・ディスカッションを設けていますが、この進行は全くのアドリブですので、素の人柄も垣間見ることが出来ると思います。
今後は、試行的にパネル・ディスカッションをメインにした投資家説明会もしてみたいと考えていますが、台本なしのディスカッションを私と1時間する銘柄が居るかどうかが問題です。

 
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