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2009. 3.27.Up Dated.
マクロ動向と投資態様

 ここにきてオフィスビル賃貸市場が軟調になってきており、空室率の上昇と平均賃料の下落が進行しています。
これらの事は新聞等に報じられていますからご存知の方も多いと思いますが、こういうマクロの傾向が個々の企業やREITにどのような影響を与えるかになると、今一つ理解がなされていません。
確かに全体の雰囲気としてはマイナスですので、不動産関係は厳しいという大雑把な見方で株式市場やREIT市場も動いていますが、投資という立場で考えると稚拙だとも言えます。
本来であれば、こういう時期に個々の企業がどのように考え、どういう行動を採るか、そして新たな戦略を立て、どういう展開を準備するかが投資家の判断基準になるはずです。
然しながら、農耕文化の感覚ではお天道様には逆らえないということで、全てがマイナス思考になってしまいます。
逆に、良い時は勇ましい掛け声が飛び交い、お調子者の報道や見通しに包まれます。
これが人間の性(サガ)と言ってしまえばそれまでですが、何度も何度もこういう状況を見てきた者として歯痒く感じます。
特にREITに関して、こういう見方一色になるのは納得出来ません。
私は以前よりREITの資産運用会社へは「良い時こそ考え工夫する」と説いて回っていて、2003〜2004年頃は理解を示してくれた人も居ますが、その多くは人事異動でREITを去りました。それでも何人かは残っていて、以前と変わらない運用方針を貫いている所もあります。
それなのに、全体の傾向によって同じような市場評価になってしまっていますが、これでは努力が何の意味もありません。

投資は機械物を対象としている訳ではなく、人の集団や組織に投資しているのですから、人間の資質や努力が大事な判断基準ですが、悪い時期にはあまり顧みられません。
資質や努力という要素は不確かなものでアナログ的な見方になりますので、判断が難しいのは分かりますが、私から見ればブランド判断よりも上等だと思います。
大企業は確かに人が多いので、中には優秀な人材が存在する確率が高くなりますが、トップは必ずしもそうではないケースが散見されます。
大集団の中で何となく座りの良い人材が担がれてトップになっている企業と、集団規模は小さくとも資質に優れ努力を惜しまない人材がトップになっている企業と、どちらを信頼するかなのです。
他人のお金を運用している人達は、ブランド評価さえしていれば大過ないと考えていますが、自分の資金とリスクを注ぎ込んでいる個人投資家は違うはずです。
資本投資は元々人を観る事から始まりましたので、こういう時期にこそ投資の原点に還るべきです。
そしてマスコミもお調子者の報道を繰り返すのではなく、資本投資の原点からどういう基準で投資を行っているのかを機関投資家等に問うべきなのです。
 
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