コラムトップ
2009. 3.13.Up Dated.
パシフィックホールディングスの破綻

 3月10日、私募不動産ファンド会社のパシフィックホールデンィグス鰍ェ会社更生法申請を行ったことで、同社が主要株主になっているパシフィックレジデンシャル梶i日本レジデンシャル投資法人の資産運用会社)、パシフィックコマーシャル梶i日本コマーシャル投資法人の資産運用会社)に対する影響に関心が集まっています。
一部の株式専門紙では、パシフィックホールデンィグスの破綻によって、REIT投資法人にも破綻の可能性がという誤った記事が掲載されましたが、REITの仕組みが分かっていればこんな憶測はあり得ません。
尤も、日本レジデンシャル投資法人、日本コマーシャル投資法人の両HPには投資法人に対する直接的影響はない旨の発表が即日にありましたから、REITに対して通常の注意力を持っている人は誤報と気づきます。
資産運用会社の株主と投資法人の関係については、昨秋頃からREITに関心を持っている数社のマスコミから問い合わせを受けその都度説明していましたから、これらマスコミが誤報することはないと思いますが、株式関係者はREITが良く分からなくても取り扱うため、このような事態も起こります。
勿論、この件だけで株式関係者のREITに対する知識を疑うのは早計ですが、私は以前より株式関係者のREITに対する理解度の低さが気になっていました。
然しながら、現実の市場を見ると、REITは株式と連動した値動きを見せていますから、投資口価格も株式市場に左右されているとも言えます。
一方、株式専門紙でもこのような初歩的なミスを犯すのですから、REITに対する評価が何を根拠にして行われているのかは甚だ疑問です。
株式市場は、理屈はどうあれ株価が全てという面がありますので、REITという投資商品とは相容れない部分もありますが、取り扱うのが証券会社ですから、どうしても株式の感覚で見られがちです。
それでも、実際のところ投資法人はどう対処するのかという点は気になりますので、やはり投資家に説明する必要があります。
3月18日に開催される個人投資家セミナーに日本レジデンシャル投資法人が参加する予定です。 当初は、中柏ジャパンによるパシフィックホールディングス支援の結果がどうあれ、投資家には説明する必要があるとの見解で、資産運用会社にセミナー参加を打診しました。
当日はどういう説明が行われるのか私も聞いておりませんので、参加される投資家の方々と一緒に説明を受けるつもりですし、私の講演でも一般的な見方を話し、パネルディスカッションでも触れたいと思います。

REITは投資家の為の仕組みですから投資家に対する説明は最優先事項です。 そして世の中には良い時も悪い時もありますから、事象だけに左右されることなく、一貫して投資家重視の姿勢を貫くことがREITの資産運用会社の使命です。
この積み重ねがあれば、自ずとREITは正当に評価されるようになりますので、こういう機会にこそ関係者はREITの原点に還って、投資家に対して真摯な説明努力を続けて欲しいと思います。
 
Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.