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2009. 2.13.Up Dated.
REIT市場の投資口取引状況

 REIT市場の過去6年の投資口取引動向を見ると、以下のようになっています。

証券会社
自己取引
金融機関 投資信託 個人 外国法人
2003年 売買シェア 29.72% 19.61% 2.13% 23.19% 19.21% 93.86%
差引 中幅買越 大幅買越 小幅買越 中幅売越 中幅売越 小幅売越
2004年 売買シェア 27.16% 24.97% 4.98% 20.98% 16.80% 94.89%
差引 中幅買越 大幅買越 大幅買越 大幅売越 中幅売越 小幅売越
2005年 売買シェア 26.11% 18.70% 6.89% 21.19% 22.49% 95.38%
差引 大幅買越 大幅買越 大幅買越 大幅売越 中幅売越 中幅売越
2006年 売買シェア 22.51% 16.83% 5.91% 17.73% 32.97% 95.95%
差引 大幅買越 中幅買越 大幅買越 大幅売越 大幅買越 中幅売越
2007年 売買シェア 18.46% 13.16% 5.01% 15.67% 42.89% 95.19%
差引 中幅売越 小幅買越 大幅買越 大幅売越 大幅買越 小幅買越
2008年 売買シェア 16.81% 12.91% 5.65% 18.81% 41.18% 95.36%
差引 中幅売越 大幅売越 小幅売越 大幅買越 小幅買越 小幅買越
                                (データ出典;東証発表の投資部門別売買動向)


上記の売買シェアの推移をグラフ化すると、次のようになります。



売買シェアは、2005年以降外国法人の台頭により国内投資家は減少しており、辛うじて投資信託のみが横這いという状況です。
但し、前掲の表でも分かるように、2008年は個人投資家の取引シェアが上昇し、且つ、大幅買い越しという過去に例を見ない取引状況になっています。

2008年の投資口価格の下落は、金融機関と証券会社自己取引の売り越しによって引き起こされたと言えます。
これは株式市場も同様のようで、金融機関と証券会社の赤字決算は有価証券の売りによって生じたものと考えられますので、現象的には売り急ぐことで赤字決算を招いたとも言えなくはありません。

現在有価証券投資の損失によって自己資本が減少した金融機関に公的資金が注入され始めていますが、自らの行動によって損失を生じた主体に税金を補てんするのは理屈に合いません。
当局は、金融機関の貸出余力を回復するためという大義名分を付けていますが、地銀等が地元の中小企業に積極的融資を行うとは考えられません。
それでも、金融機能の正常化は必要ですから仕方ない面もありますが、百歩譲っても、証券会社への公的資金注入はあり得ないはずです。
証券会社も軒並み赤字決算ですが、ここは完全に市場淘汰に任せるべきです。
今の投資市場は個人投資家が辛うじて支えているのですから、個人の税金を、売り逃げて相場を下落させた主体に使うのはどう考えても不合理です。
政策当局もこの事は十分に承知しているはずですので、まさかとは思いますが、敢えてアピールしておきたいと思います。
 
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