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2009. 2. 6.Up Dated.
不動産の現状

 日本綜合地所の破綻が報じられるなど不動産会社の不振が続いています。
尤も、不動産会社は隆盛と凋落を繰り返すのが常ですから、長い目で見れば年中行事だとも言えます。
先日、かつての仕事仲間との会合に出掛けましたが、この会合には大手デベロッパーに在籍している人も多く、第一線の実状について色々と話を聞く機会になりました。
皆が一様に言うのは「良い時もあったので仕方ない」という言葉でしたが、私の若い頃から言われていたように「不動産はお天気次第」というのを改めて実感しました。
今、不動産業界で何とか仕事になるのは、賃貸仲介と個人仲介だそうで、分譲や法人仲介は真っ暗という状態のようです。
デベロッパーの業績予想も2008年度は取り敢えず減益で凌いでいますが、来期は数字を作ることが難しいかもしれません。
また建設関係の仕事と連動するコインパーク事業も不振のようで、稼働率がかなり低下して、オーナーと値下げ交渉が進んでいるとのことです。
不動産と建設がこのような状態にあると、GDPに占める建設投資が落ち込むと予想されますので、ますます不動産は厳しくなります。
このままだと2009年の名目GDPは500兆円を割るかもしれませんし、ファンド向け開発事業の凍結と分譲マンション市場の低迷によって、民間住宅投資もかなり落ち込みそうです。
また経済全体でも企業の設備投資は低下していますし、個人消費も不調という事で八方塞がりとも言える状態ですので、政策的にもなかなか有効な手段がありません。

全てに言える事ですが、苦しい時に一発で効く特効薬というものはなく、先ずきっかけを作り、そこに力を集中して突破するというのが常道ですので、政府及び政策当局はきっかけを探して、そこに政策を集中させるという手法を採る必要がありそうです。
従来であれば、公共投資ですが、今の経済メカニズムを考えると、単に公共投資をバラ撒くだけでは乗数効果が期待出来ません。
政府・自民党では定額給付金だけでなく、更なるヘリコプター・マネーも検討しているようですが、こんな劇薬しか考えられないのも問題ですし、国内だけで考えるのではなく、欧米の実状も見て、グローバルな投資資金を呼び込むような方策が欲しいところです。
世界経済が落ち込んでも投資資金は行き場を求めて動いていますから、これらを日本に誘引するようなインフラ作りが必要ですので、その為には何から手を付けるべきかを議論して欲しいと思っています。
 
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