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2009. 1.16.Up Dated.
低迷環境からの脱却努力

 今年は景気が低迷し、証券・金融・不動産の各業界も業績が悪化し、赤字を計上せざるを得ない企業が続出しそうです。
一方、REITを見ると、これらの業界からの出身者が大半を占めていますし、その多くは出向の身分になっていますから、原籍の企業の風潮に影響を受けます。
従って、意識的にはシュリンクして、当面は嵐が過ぎ去るのを待とうという消極的な姿勢が強くなります。特に、比較的存続が容易な銘柄ほどこういう姿勢になりがちです。
勿論何もしない訳にはいきませんから、取り敢えず形を作って活動するというのがサラリーマンの常ですので、REITも今年はこういう動きが多くなると思います。
然しながら、REITが本来担うべき社会的役割を考えると原籍企業よりは重いと言えますので、こういう程度の活動では不十分です。
一方、原籍企業が浮沈の瀬戸際にある銘柄では、何とかREITだけは維持しようと必死になるのでしょうから、意識的にはこちらの方が高くなります。
こうなるとREIT内部でも危機意識にトーンの違いが生じますから、REIT業界の足並みが揃いません。
元々、REIT投資法人と資産運用会社は原籍企業のように赤字転落になる可能性はありませんので、本来はこういう状況でも十分積極的な活動が出来るはずですし、意識がシュリンクする必要もないのですが、人間の心理はなかなかそうならないと言えます。

投資家にとっては、こういう時期こそ本物とまがい物を見分けるチャンスになります。
例え投資口価格が低くても、必死になって動く所と、投資口が高くても形式的な活動をする所では、長期の運用では自ずとその差が生じます。
特に、個人投資家は自らのリスクと負担で投資をしている訳ですから、資産運用会社の真剣度は非常に重い尺度です。
投資に係わるリスクやリターンは常に変動するものですので、これを正確に予測することは不可能ですが、リスクを何とかコントロールしようとする人間の努力は予測出来ます。
意識の低い人の努力に多くを期待しても現実的ではありませんし、逆に意識の高い人は何とか局面を打開してくれる場合が多いのです。
私も厳しい環境の中で難しいプロジェクトを手掛けたことは何度かありますが、こういう時はメンバーの意識向上が鍵となります。
この意味でも、今年は資産運用会社の真剣度を見るべきです。
難局を簡単に乗り切る方法はありませんが、色々な動きの中で有効策を見出そうとする持続力と目的に向かってシンプルに邁進する努力があれば、突破できる確率が高くなります。
ましてREITのように安定収入と黒字が約束されている主体では、手法も選択肢も増えますので、一般事業会社より動ける余地が多くなります。
今年のREIT投資ではこの事を理解して、自らのリスクを付託出来る銘柄を選ぶのが最も納得出来るのではないかと思います。
 
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