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2008.11.21.Up Dated.
日本レジデンシャル投資法人について

 日本レジデンシャル投資法人(NRIC)が、11月18日に取得予定物件の中止とこれに伴う違約金の支払いによる08年11月期配当金の大幅減少を発表しました。
取得中止した物件は、横浜の「パシフィックロイヤルコートみなとみらい アーバンタワー」(取得予定価格約117億円)、所有者はオリジネーターのパシフィックホールディングス系のファンドです。
この物件の竣工は今年6月ですが、11月末迄の取得を昨年9月27日に決定しており、いわゆる開発型での取得でした。
一方、資産運用会社は08年のJREIT市場の厳しさを見越しており、昨年末に投資法人の方針を転換していて、新たな物件取得を行わず、内部成長と財務体質強化に専念する体制にシフトしましたが、これ以前に契約した物件取得は履行を前提にして金融機関と協議していたようです。
NRICとしては、既借入金のリファイナンスとこの物件のファイナンスを秤にかけて、最終的にはリファイナンスを優先した結果、この物件の取得を断念したものではないかと思います。
違約金(約23億円)は手持ち現金から支出されるようですが、08年5月期のB/S上では、 現預金約104億円を保有していますので支払原資はありそうです。
また違約金支払いによる収益のマイナスは1期分にて収束するので、ニューシティ・レジデンス投資法人のような2期以上無配の可能性もありませんから、この段階では仕方のない判断と考えます。

然しながら、NRICの問題は本案件ではなく、オリジネーターのパシフィックホールディングスの経営不振による連鎖的影響の方が本題です。
恐らく水面下では新たなスポンサー探しが行われていると思いますが、信用供与となるような強力なスポンサーが付くのかがポイントです。
既に破綻したニューシティ・レジデンス投資法人の方は入札方式で新たなスポンサーを募っているようですので、REITのM&Aを考えている所は両者を天秤にかけているかも知れません。
一方、この時期にM&AでREITを買収しようとする国内企業はそう多くはなさそうですし、外資の場合は、日本の不動産環境に合致した再建方策の立案が難しいだろうと思います。先にREITを買収したオークツリーも、リプラス・レジデンシャル投資法人の再建には苦慮しているようですから、単に資金さえ出せればREITのM&Aが成功する訳ではありません。
REITの仕組みと運営は、一見すると単純ですが、実際に行うとなると高度な知識と経験が必要となります。
それでも、REITと日本の不動産の先行きを考えれば、レジテンスセクターの維持は必要要件ですから、何処かが手を差し伸べなければいけませんが、大所高所からの判断が出来る経営者は少なくなっていますので難しい環境です。
私も情報収集しながら動ける範囲で色々と働きかけています。簡単には事は進みませんが、 ここは大事な時期になりますので引き続き頑張ろうと考えています。
 
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