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2008.10.31.Up Dated. |
REITの借り換え |
ニューシティ・レジデンス投資法人の資金繰り難による破綻によって、他銘柄のリファイナンスの行方に注目が集まっており、一部金融業界紙には10月末返済が困難なREITが出るとの憶測記事が流れました。この憶測記事が出た10月半ば、私も気になる銘柄へ電話を入れ状況を確認しましたが、結局は杞憂に終わりました。 10月末にリファイナンスが到来した投資法人の中には、投資口価格が10万円以下になっている銘柄もいくつか含まれていましたので、果たして借り換え出来るのかと心配しましたが、無事にリファイナンスが出来たことで、他銘柄の今後のリファイナンスにも光明が見えた気がします。 次は、年末のリファイナンスがポイントになりそうですが、ここを通過すればREITが資金繰りによって破綻する確率は極小になりそうです。 但し、投資法人のスポンサーになっている企業の経営状態が芳しくない所もあるので、この影響が投資法人に及ぶ可能性があります。 投資法人が運用業務を委託している資産運用会社の人員がスポンサー企業からの出向者で構成されていた場合、出向元の企業から給与が支払われていますので、スポンサー企業の経営状態によっては人員の離反が生じます。 一方、資産運用会社自体の経営状態は安定していますので、転籍する方法もありますが、資産運用会社の支配株主がスポンサー企業になっているので簡単には身分を換えられません。 また、スポンサー企業は資産運用会社の株式を易々とは手放さないようで、新たなスポンサー候補が見つかっても、高値で買い取りを要求したりして、事が進まないこともあるようです。 更には、REITを抱え込む事で金融機関の支援を引き出そうという意図もあるようで、REITにとって予期しない状況にもなりつつあります。 このような事態から、資産運用会社の株式を投資法人自体が保有するという方法も提案されているようですが、これは自家運用に近づきますので、制度を見直す必要が生じます。 REITの黎明期では資産運用会社への金融庁の認可基準が厳しく、スポンサー企業の継続性を重視していたようですが、行政指導では限度がありますので、やはり制度の手直しも考えなくてはならないとも言えます。 そして、ニューシティ・レジデンス投資法人の例からも、REITの倒錯隔離の方法を、更に強化する必要もありますし、投資家がある日突然破綻を知らされるような事態は、投資家主体のREITの仕組みから見れば避けなければいけません。 REITが誕生して7年経ちましたが、今回の金融危機によって、想定していなかった事も起こっていますので、これを機に制度改革を検討する必要がありそうです。 |
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