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2008. 6.27.Up Dated. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
J-REITの物件取得について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今年に入って、タイトな不動産金融環境がJ-REITにも及んでいます。 今の状況を見ると投資市場の冷え込みが金融に影響を与え、そして投資市場と金融情勢が不動産価格を下げているというのが実態です。 従って、J-REITと言えどもこの三位一体のマイナス構造からは逃れられず、たとえ不動産価格が下がったとしても必ずしも取得出来る力がある訳ではありません。 既に不動産流通市場には売り情報が溢れていますが、買い手不在という事で取引が成立しないケースが多くなっています。 こういう環境の中で、野村不動産オフィスファンド投資法人が7物件を取得しました。 こういう時期の取得ですから上手な取得かと思いましたが、期待に反して昨年の相場観での取得になっています。 6月20日に発表されたオフィスビル6物件は以下の内容です。
この6物件は、オリジネーターである野村不動産の私募ファンドからのバルク買いですが、上の表を見ると分かるように予想NOI利回りは決して満足出来る数値ではありません。 建物築年数は平均で18.8年ですので、従前の平均値21.86年を辛うじて下回っていますが、NOI利回りは従前のポートフォリオNOI利回り5.67%(取得価格ベース)より大幅に低くなっています。 6物件とも都内23区の物件ですので、NOI利回りが従前の平均値を下回るのは止むを得ませんが、直近決算期の数値から1%弱も下回る物件を、敢えて追加取得する理由が疑問です。 前述したように今の時期は買い手市場になりつつありますので、Aクラスでもないオフィスビルをこのような価格で引き取ってくれる所はそういません。 ましてバルクとなれば、買い叩かれる場合も多いですので、野村不動産の私募ファンドにとってはありがたい買い手です。 然しながら、元々この投資法人は野村不動産の私募ファンドが保有する物件の出口として設立された面もありましたので、既に投資家もこのような取引は了解済みという解釈も成り立つのかも知れません。 また、今回のバルク買いに際しての資金調達は短期投資法人債(150億円)で過半を賄うようですので、これもタイトな金融情勢を反映しているとも言えますが、穿った見方をすれば、このような物件取得ではさすがに金融機関も融資を渋ったためだとも考えられなくはありません。 今は、B・Cクラスのオフィスビルには融資が付き難くなっており、たとえJ-REITであってもそれは同じだと言えます。 また、東急リアル・エステート投資法人が6月25日に取得を発表した「菱進原宿ビル(築19.3年)」も高値買いだと言えます。 発表された資料では予想NOI利回りは2.85%になっていますが、J-REITでは史上最低の取得利回りです。 おそらく競争入札になったのではないかと推測されますが、この利回りでは他の投資法人は追従出来ませんから、東急リアル・エステート投資法人が買えたのだと思います。 この時期にこの物件を史上最低の利回りで取得する理由が分かりませんが、何れにしても、J-REITがこのような取得を続けるようであれば、不動産金融は未だ絞られる可能性もありますので、当分資金調達環境は好転しないかも知れません。 |
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