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2008. 3. 7.Up Dated.
不動産金融環境について

 昨年の末から不動産に対する金融機関の融資が極端に厳しくなっているようです。 ノンリコースローンはもとより、住宅ローンでさえ付かなくなっていて、不動産業者の悲鳴が聞こえてきます。
そのせいか、首都圏の分譲マンションの販売率が50%台に落ちていますが、私の記憶ではこれ程低い販売率が公表された事はなかったと思います。
元々、不動産業者が外部に発表する販売率の信頼性は低く、実際の販売率とは乖離した数字を出すケースも多いので、公表される販売率を鵜呑みにはする訳にはいかないというのが業界の実態です。
従って、所謂「ゲタを履いた」販売率が50%台だとすると、その実態は相当深刻です。

では、何故、金融が厳しくなっているかと言えば、それは不動産価格の下落を見越しているからで、不動産融資を行う際の掛け目率が分からなくなっているからだとも言えます。
また、金融環境の変化によって、昨年末頃から私募ファンドからの売りが多くなっていて、不動産市場では完全に売りが超過になっています。

一方、こういう情勢にありながら、日銀の総裁人事が政争の具になっています。
「木を見て森を見ない」のは日本の政治家の常ですので今さら嘆いても仕方ありませんが、これだけセンスのない人達が国会を闊歩しているのは、最早笑うしかありません。
権力闘争と自分の発言力確保の為であれば何でもするという人達は、何処の国の政治の舞台にも溢れていますが、日本の政治の貧弱さはその自覚がないことです。
普通の常識と理性を以ってすれば、参院で多数を占めた野党が日銀総裁人事で存在感を示すことを期待されていたとは考えないはずです。
野党の理屈としては、権力奪取の過程としてこの問題を大きくしているという事もありますが、現在の日本の置かれている現状は、政権交代によって解決することはほとんどありません。
世界的に資本市場が混乱している中で、日本がどのように動けば良いのか、何が必要なのかを考える頭の無い人達が、取り敢えず人事に茶々を入れるというのは、まさにサラリーマン社会と同じです。 私も会社勤務時代にこういう事を何度も見てきました。 結局馬鹿馬鹿しくなって辞めましたが、日本を辞める訳にはいきませんので、このような文句の一つも言いたくなります。
 
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