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2008. 2.29.Up Dated.
REITの情報開示

 最近のREITの情報開示を見ていると、物件取得時の想定NOI利回り(鑑定評価の利回りではなく、資産運用会社の想定利回り)を発表する銘柄が増えている一方で、守秘義務契約を楯にして、前所有者の取得価格や仲介業者名を公表しないケースも目立っています。

東証の規定では、前所有者の保有期間が1年以内の場合には、従前の取得価格を開示するように義務付けていますが、不動産取引には当事者間の個別の事情が絡みますから、法的強制力がない限り完全開示は困難です。
不動産取引価格の開示については、国土交通省も検討していて、登記簿に記載させる案も考えられていますが、実現可能性は分かりません。
次に、投資法人の物件取得時に介在した仲介業者名や仲介手数料額も開示しないケースもありますが、これは実態から見るとおかしな話です。
不動産仲介業者にとって、大型案件に関与すること、又、REITのように継続反復して不動産取得を行うような知名度のある取得主体との関係は、仲介業者のステータスにも繋がりますから、通常は公表を忌避する理由はありません。
更に、仲介手数料報酬の上限は法定で定められていますし、仲介業者は取引台帳に報酬額も記載しなくてはなりませんから、報酬額を隠す必要性もありません。
従って、仲介業者の名前や手数料額を公表しない理由は、別の可能性が考えられます。
最も気になるケースは、形式的な仲介の場合です。
REITの不動産取引は相対的に大きな取引になりますから、仲介手数料が1%(法定上限は3%+6万円)でもかなりの金額になります。
また、単に不動産売買契約書に仲介業者として形式的に名前を連ねる場合には、判子代として仲介手数料が支払われます。
このような形式的仲介は、実態としては、本来の仲介業務全てを行ってなく、取引の何処かの段階で横から入って来る事で、手数料を得ます。
REITが仲介業者や手数料額を公表しないのは、通常の仲介ではない、このような仲介であった可能性も考えられなくはありません。
例えば、オリジネーターやその関係会社に仲介手数料を落とす目的で、REIT側から取引の仲介に入るよう働きかけたりするケースも考えられます。
こういうケースでは仲介手数料は法定上限の半分(1.5%以下)程度になる場合が多いので、手数料額を見れば大凡の察しがついてしまいます。
不動産取引仲介業務は、宅地建物取引業法で定められているまともな業務ですので、本来隠す理由はありませんし、又、完全守秘は出来ない業務なので、REITが開示しないのは問題がありそうです。

仲介手数料というのは取得原価に入りますが、不動産取得コストとしてはかなりの負担になるので、REITのような主体では投資家に開示するのが義務だとも言えます。
開示しないケースでは資産運用会社が色々な理由を述べているようですが、私から見れば、どれも納得出来ない理由だと思えます。
 
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