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2007. 8.10.Up Dated. |
グローバル・ワン不動産投資法人の物件売却 |
8月3日にグローバル・ワン不動産投資法人から、保有している「スフィアタワー天王洲」の準共有持分33%を阪急リート投資法人に売却する、と発表されました。 この売却(引渡しは平成19年10月2日予定)によって、グローバル・ワン不動産投資法人の平成20年3月期の予想配当金は、55,400円/口へ上方修正されました。5万円台の配当金はJREIT史上最高となります。 元々、グローバル・ワン不動産投資法人は、近・新・大を投資物件の基準としているため、ここ1・2年の不動産価格の上昇によって、大幅な含み益を保持することになりましたので、その一部を投資家に還元するという目的もあるようです。 投資家にとっては予期しないボーナスになりそうですが、長期保有の投資家に報いるという姿勢は、JREITにとって望ましい投資家対策だとも言えます。 今回の発表によって、投資口の売りは一層少なくなりますし、少なくとも来年の3月までは保有するという投資姿勢を堅持する投資家が多くなりますので、株価の安定にも繋がるかも知れません。 一方、取得した阪急リート投資法人にとっては、上場来の課題であった東京圏での物件取得と、商業施設に比べると物足りなさのあったオフィスビルセクターの強化に繋がりますので、プラスになるのではないかと思われます。 取得価格でのNOI利回りは、平成19年3月期決算のデータで見ると約4.8%/年になりますので、現在の不動産市場ではやや買い得ということも言えますが、これは鑑定評価額によって売買されたためだとも言えます。 また、阪急リート投資法人は、関西圏を地盤としたJREITなので、今回の取引のように、持分売買によって実質的な資産運用をグローバル・ワン不動産投資法人に委ねるというのも、賢い手法だとも言えます。 このように見ると、お互いにとってメリットのある売買のようですが、元々、このような取引がJREIT間で成立するのは稀な例だとも言えます。 以前にもコラムで触れましたが、JREIT同志の協議は難しく容易には合意に達しないようですので、それを乗り越えたというのも注目に値します。 また、今回の取引によってグローバル・ワン不動産投資法人の関西圏での物件取得の可能性を広げることに繋がりそうです。 阪急リート投資法人のオリジネーターは、梅田駅周辺に多くの不動産を保有していますので、これらの中から近・新・大に該当するオフィスビルが取得出来れば、グローバル・ワン不動産投資法人のポートフォリオ強化にもなりますので、その布石だとすればかなりの高等戦術だと言えます。 JREITも41銘柄になると、色々な動きが出てきますが、それらが投資家にとってメリットのあるものであれば許容範囲になりますので、他銘柄も含めて、今後もより進化した資産運用を追求して欲しいと思います。 |
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