先日の日経新聞に「世界のREITが100兆円規模に成長」という記事が掲載されました。この時価総額の半分は米国REITですが、その他では欧州の伸びが大きく、何れは米国並みの規模になるかも知れません。
既に、REITは米国・豪州だけでなく、英、仏、独、日といった主要先進国にも広まっていますし、アジアでもシンガポール・台湾・香港・韓国等にも創設されていますから、グローバルな投資商品という範疇に入ったとも言えます。
それに、100兆円という規模は、世界の不動産市場から見ればほんの一部ですので、潜在成長力は測り知れない程大きいと考えられます。
JREITも、既に6兆円規模に達していますから、グルーバルREITの一画を占めるようになりましたし、今後の成長も約束されていますので、グローバルな不動産投資ポートフォリオには欠かせない存在になりつつあります。
世界にREITが広まっていくことは、JREITにとっても、又、日本の不動産にとってもプラスになると思えます。 私がREITに関わったのも、何れは日本の不動産デベロップメントと物造りの力を世界に広める事が出来るのではないかという夢があったからです。
昭和40年代〜50年代の頃は、デベロップメントでは欧米のアイディアやコンセプトが非常に目新しく映りました。
「景観造成」や「ランドシステム」と言った耳新しい言葉が飛び交い、下水・上水・電気・ガス等のインフラを一箇所に纏める共同溝というシステムも紹介され、それらの考え方にショックを受けました。この時感じたことは、日本は改良が得意ですから、何れは、日本で改良されたシステムが欧米に逆輸出出来る日が来るという思いでした。
そんな中で、昭和52年頃から「横浜パークタウン」という大規模開発事業に参加し、当時としては先進的なTESの温水暖房システム、ユニット・バス、システムキッチン等を備えたマンション事業に関わりました。その後も、好んで未来志向のプロジェクトに関わり、日本の物造りの伝統である細かな改良を楽しみました。
今思い返せば、昭和50年代の初めに着想した、燃料発電は既に住宅に取り入れられていますし、ICを使ったエネルギーのトータル制御もビルでは行われています。
未だ出来ていないのは、ソーラー等の自然エネルギーを使った建物共用部分の電気の供給システムですが、これも何れは実現するのではないかと思います。
エネルギー効率の良い建物、そして人間の感性を豊かにするような空間を、音響特性と自然光を含めた照明システムそして視覚効果等から造るという考え方も持っていました。
これらの事は、REITが世界に広まれば、何れ各国の競争により、より良い建物が作られていく事で実現するだろうと考えています。
長期に亙って収益をもたらす建物は、表面的な見栄えやギミックまがいの装置だけでは実現出来ません。利用という視点から徹底的に煮詰めた建物こそが収益の長期安定性をもたらすと思います。
こういう改良こそ本来の日本人が持っている特長ですので、JREITに託したい夢でもあるのです。
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