3月2日、ビ・ライフ投資法人が、シンガポールの不動産会社のキャピタランド・グループに対する第3者割当によって、8,000口、約40億円の増資を行いました。また、エルシーピー投資法人もGEリアル・エステート(株)(実際の割当先は同じグループのニュー・ミッション・ファンディング(株))への第3者割当で32,500口、約141億円の増資を行うことを発表しました。
一方、従来通りの公募増資で、ジャパン・シングルレジテンス投資法人とアドバンス・レジデンス投資法人が増資を実行しています。
両者を比較してみると以下のようになります。
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発行口数
@ |
発行価格 |
発行価額
A |
調達額
(@×A) |
公募増資 |
ジャパンシングル・レジデンス投資法人 |
21,000口 |
465,600円 |
448,800円 |
94,248百万円 |
アドバンス・レジデンス投資法人 |
21,800口 |
528,220円 |
509,355円 |
111,039百万円 |
第三者割当
増資 |
ビ・ライフ投資法人 |
8,000口 |
− |
504,261円 |
40,341百万円 |
エルシーピー投資法人 |
32,500口 |
− |
434,425円 |
141,188百万円 |
以上の増資の条件を総合的に見ると、株価低迷銘柄にとっては、第3者割当増資の方が投資法人・投資家双方にとってメリットがありそうなので、第3者割当増資銘柄の株価の方がその後好調な推移を見せているようです。
もっとも、今回は第3者割当増資をしても、何れは公募増資を行うことになりますから、一時凌ぎの策ではありますが、難しい環境の中で公募増資を強行するよりは、上策という市場判断だと言えます。
また、株価が低迷している銘柄にとって、これらの異なるタイプの増資が行われた事による今後の影響は大きそうです。 他にも増資圧力が掛かっている新興銘柄がありますので、これらの銘柄が公募増資を強行して大きく株価を下げた場合、第3者割当増資を行う力もないと見做されて、更に、悪い評価を受けてしまう可能性もあります。
特に、大量保有報告で物議をかもしたプロスペクトは、他銘柄の投資口を大量に取得するだけの力のありますので、仮に、自らがオリジネーターになっているプロスペクト・レジデンシャル投資法人の第3者割当を受けられないという事になれば、更に、評価が下がる可能性がありますので、プロスペクトにとっては選択の幅が小さくなったとも言えます。
一方、何時でも増資が出来る銘柄にとっては高みの見物でしょうが、株価低迷銘柄が必死になってサバイバルに取り組んでいる姿には学ぶところもありそうです。
JREITもここまでの規模と銘柄数になれば、何時どんな形で低迷期が訪れるとも限りませんので、その時に備えてオプションを用意しておく事も考えておく必要があります。
色々な状況に対応出来る力がある事が資産運用能力の高さを証明することにもなりますので、第3者割当や場合によっては劣後出資等も念頭に入れておいても良いかもしれません。
「自分達の株価は好調なので心配ない」という態度よりは、長期投資商品としてのJREITでは不測の事態に備えておく方が投資家の安心感を誘います。
これからも色々な試みが各銘柄で起こると思われますので、一つ一つを冷静に見て、何が投資家にとって良いのかを考えておくべきだと言えます。
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