40銘柄に達したJREIT市場は、2006年末時点の時価総額が約5兆円、保有資産総額(取得価格ベース)は5.3兆円になりました。
2005年末は28銘柄、時価総額2.8兆円、資産総額3.4兆円でしたので、2006年の伸び率は、銘柄数が143%、時価総額178%、資産総額156%となりました。
時価総額が資産総額の伸び率を上回っていますので、それだけ株価が上昇したことを物語っていますが、JREITを不動産投資の側面から見ると、保有不動産の価値(取得価格ベース)に対して有価証券の時価総額は大凡1.45倍(2005年は1.27倍)になっていると言えます。(平均のLTVを45%とし、エクイティを65%とみなして算出)
時価総額が保有資産総額の1.45倍というのは、現在の不動産市場の状況から見れば、必ずしもバブルとは言えません。 また、時価総額の膨張の過程で、銘柄間の株価格差が広がっていますが、銘柄によって保有不動産の質に差がありますので、これも当然の動きだと考えられます。
このように見ると、JREIT市場はとりあえず健康体で成長しているように思えますが、果たして今年はどうなるのでしょうか。
私の予想は、新規上場銘柄が8銘柄程度で、時価総額は6.5兆円、資産総額7兆円と予測していますので、資産総額に対する時価総額の伸びは頭打ちと見ています。
その根拠の一つとして、金利上昇を想定しているのと、今年は株価低迷銘柄の増資が多くなると予想しているからです。
次に、投資法人債の状況を見ると、2006年は4銘柄が発行し555億円を調達しましたが、2005年の8銘柄で1,800億円の調達と比べると大幅に減少しました。
今年は、昨年に新たに格付取得した銘柄が増えましたので、再び、投資法人債発行が活発化すると予想されますが、大型起債は少なそうなので、2005年並にはならないと思えます。
これらの前提で、JREITの2007年の資金調達は、IPO・POで1兆円弱、投資法人債を含めて1兆円程度(2006年は1.1兆円)と、前年並みかやや下回ると予想しています。
そこで心配なのは、JREITの資金調達が落ち着くのに対して、JREITに流れる投資資金が増えそうな状況にあることです。
前述したように2006年は未だバブルという状態ではありませんが、流れ込む資金によって無差別に株価が上昇するようになれば、それこそバブルだと言えます。
既にそのような兆候も見て取れますので、今年は今までよりも更に冷静に且つ論理的にJREITを見ていくことをお勧め致します。
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