ここのところJREIT市場は活況を呈していますが、JREIT投資を行っている投資家にとっては、何が自分達たちの利益に繋がるのかを真剣に考える時期になっていると思います。
JREIT40銘柄の資産規模(取得価格合計)は5兆円を越え、投資口の時価総額も5兆円に迫りつつあって両者の差が縮小しています。
12月に入ってJREIT株価が上昇した事で、現在は時価総額/資産規模が約90%程度になっていますが、昨年の12月はこの比率が80%程度でした。
JREITのLTVは平均が45%程度ですから、エクイティ部分は55%と考えると、取引市場でのプレミアムは60%以上となります。
このような状況は今後もしばらく続くと予想されますので、投資家は銘柄の資産運用を注意深く見守ると伴に注文を付ける必要もあります。
その最たる点は、保有資産の質と取得価格とのバランスです。 昨年の12月と比較すると、JREITの保有不動産は約1.9兆円増えましたので、これらの不動産が投資家利益に叶った取得になっているのかは重要なチェックポイントです。
各銘柄が2006年に資産の追加取得を行なった額は約8千億円で約200物件に昇りますが、これらが投資家利益に叶った取得になっているか否かは今後の投資パフォーマンスに影響を与えます。
2007年も今年と同規模の外部成長が行われると予想されますので、投資家はそれらの資産取得を厳しい目で見る事が自分達の利益に繋がります。
各銘柄は資産取得をHPで公表します。この時、不動産の質と価格とのバランスが取れているかを見るのが必要ですが、最近では予想収益を発表しない銘柄が増えています。
特に、最近の新興銘柄では予想収益に代えて鑑定評価サマリーを出していますが、これは何の意味があるのか分かりません。
鑑定評価は飽くまでも第3者の意見であって、資産運用会社の見込みではありません。
投資家の資金を使って不動産を取得する以上、資産運用会社は自分達の見込みを投資家に説明する必要がありますし、実際に、内部では数字的な見込みを持って取得しているはずです。
その見込みを投資家に開示して不動産を取得するのは、他人のお金を使う以上当然の対応ですが、敢えて、鑑定評価を説明に使うのは、投資家からの責任追及を逃れる為としか思えません。
不動産鑑定士は投資家に対して何の責任も負いませんし、鑑定価格を投資判断材料として保証するものでもありません。 それにも拘わらず、資産取得に際して資産運用会社の見込みを開示せず、鑑定評価サマリーを発表するのは問題です。
こういう状況を投資家が許せば、資産の追加取得が益々安易に流れる恐れがありますから、投資家は自己防衛の為に、予想収益の開示を求める事が必要です。
JREITの仕組みを踏まえれば、次期予想配当金という資産運用の最終結果のみを発表していれば良いとはとても言えません。
銘柄が増えるに連れて、JREITの原点から離れていく傾向も見られますので、投資家はもう一度タガを締め直す時期に来ていると思います。
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