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2006.11.16.Up Dated.
40番目の銘柄


 JREIT40番目の銘柄となる森ヒルズリート投資法人の上場予定が発表されました。
この投資法人のオリジネーターは森ビルで、先発銘柄の森トラスト総合リート投資法人のオリジネーターである森トラストとは兄弟会社の関係にあります。
この他にも、両銘柄ともオフィスビル・商業施設・住宅を投資対象としている事、又、上場に際して投資口の売出を行う等の共通点があります。
森ヒルズリート投資法人の投資口公募に伴う公募価格の仮条件は74〜75万円/口と発表されましたが、この公募価格は森トラスト総合リート投資法人の上場時公募価格73万円/口を意識しているのかしれませんが、売出によってオリジネーターの森ビルは70億円超の有価証券売却益を得るという計算になります。 尤も、売出による投資口売却益では森トラストグループの得た約250億円と比べると遙かに小さく、売出価格も今日のJREITの株価水準から見れば突出しているとは思えませんので、目くじらを立てるほどでもないとも言えます。

それにしても、投資法人の上場前に私募で出資を募り(1口50万円)、その後半年を経過した後で上場して投資口売却益を私募の出資者が得るという方式は、先に上場した日本アコモデーションファンド投資法人と同じ手法です。勿論、この手法はどの投資法人でも出来るという訳ではなく、公募価格が私募の出資価格を上回ることが確実と思われる投資法人のみが可能です。

日本アコモデーションファンド投資法人、森ヒルズリート投資法人の私募出資者は何れもオリジネーターと機関投資家になっていて、両銘柄に出資しているのは農林中央金庫と日本トラスティサービス信託銀行(信託口)となっています。
この手法は法に触れる訳でも無く、又、東証の現行規制(売出規制)もクリアーしていますから法令上問題はありませんが、何となくしっくり来ないのも確かです。
特に、私募出資者の中で、名前が公表されない信託口が気になります。 信託口では誰が出資者なのかは分かりませんので、上場前の私募によってメリットを得た主体が不明です。
私募の出資者は年率で大凡20%超の投資利益を得ますので、現在の投資環境ではかなり魅力的ですし、ほとんどリスクが無い出資と言っても過言ではありません。

この手法が今後も横行するのかは分かりませんが、少なくとも匿名性のある出資に対しては厳しい規制を施す等の措置も考える必要がありそうです。
株式の場合と異なり、JREITではオリジネーターが多大な不動産売却益を得るケースが多いですから、オリジネーターのビジネスに資するメリットを多く与える必要もなさそうです。 現在は、この手法が乱用されているとは言えませんが、今後の事を考えると予防措置として東証が何らかの規制を検討する必要があるのではないかと思います。

 
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