トップ
2006.10.26.Up Dated.
金融庁の行政処分


 

 10月20日にグローバル・ワン不動産投資法人、エルシーピー投資法人、ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人、トップリート投資法人に対して金融庁の行政処分が行なわれました。
処分の対象となった内容は、先の日本リテールファンド投資法人、オリックス不動産投資法人、日本レジデンシャル投資法人への行政処分と同じ、投資法人役員会の開催の件についてです。これで、投資法人役員会の開催形式で処分を受けたREITは7社になりましたが、それでも意外に少ないという印象です。 持ち回りで役員会が開催されていそうな事は、REITのイベントの頻度と役員の構成から見ると容易に想像出来ますので、もう少し多いのではないかと思っていましたから、7社程度なのかという感想です。以前にこの件について某老舗銘柄の関係者に聞いた所、「うちは全て開催しております」と言っていましたが、その時は話半分程度と思っていました。 今回の処分にこの銘柄は含まれていませんでしたので、本当の話だったようです。

処分の内容を見ると、形式的なミスに対する処分だとも言えますが、実質機能の乏しい投資法人に対して、せめてこの位はキチンとしなさいという事だと思います。 一方、本質的にはコンプライアンスに対するREITの意識と捉え方のレベルを向上させようという意図とも窺えますので、トータルで考えれば適切な処分が為されたと言えます。
処分を受けた投資法人からは「二度目の処分は絶対回避」という緊張感のある言葉も聞こえてきましたから、恐らく今後は細部に至るまでコンプライアンスを徹底するだろうと思います。

昨今の金融庁は投資家保護と市場の秩序維持に軸足を置いた姿勢を貫いていて、過去の護送船団方式による裁量行政とは一線を画しているため、金融証券関係からは厳しすぎるとの声もあるようですが、普通の常識から見ると当たり前だと言えます。 ライブドア事件のように、企業が刑務所の塀の上を歩くような状態を容認する風土がありますが、まともな企業であれば、刑務所は見えない場所を歩くというのが良識です。
ところが、「利益の為に法的リスクを犯す」「会社の為には法を守らない」という意識が企業社会からは未だ抜けないようなので、行政側の厳しい処分は当分必要とされます。 それでも一般企業から比べればREITは未だ良い方で、新興株市場で見られるような粉飾まがいの決算もありませんし、緊張感も維持されています。 それだからこそ、金融庁も処分のし甲斐がありますし、REITを良い方向へ向わせようという努力も無駄にはならないと思います。
これからも処分があるかも知れませんが、REITを投資家の為の仕組みだと思えば当然でもあり、又、それが市場の健全化にとって必要な機能だと言えます。
Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.