東証が発表する投資部門別売買動向を見ていると、今年に入って、国内事業法人の投資シェアーが昨年から半減化しています。
従来、国内事業法人のシェアーは6%程度ですので、半減化しても株価に大きな影響はありませんが、景気回復によって手元資金が増した一般事業会社の資金がJREITには流れてこないという状況にはやや問題があります。
株式市場の方では、国内事業法人の買い越しが続いていて株価を支えているようですので、JREITとは逆の状況となっています。
又、新興株市場でも国内事業法人の投資は低調のようで、株価低迷の一因とされています。新興株市場とJREIT市場には共通した問題があるのかも知れません。
10/12付の日経新聞朝刊に書かれていましたが、新興株市場の問題として「情報開示の質」「投資判断情報の不足」が挙げられていました。
これをJREITに置き換えてみると、「情報開示の質」については、新興株市場よりは良いものの、「投資判断情報の不足」は同じ状況ではないかと考えられます。
事業法人の投資は、組織社会の中での投資行動ですので、投資判断の拠り所となるデータや情報が必須です。 仮に投資利益が得られるとしても、客観的なデータや情報がないものに、敢えて投資を行うという行動は組織社会の中では馴染みません。
この辺りが、JREIT投資から国内事業法人を遠ざけている一因だと思われますが、この状況をJREIT投資法人と資産運用会社がどのように見ているかが問題です。
既にJREITも40銘柄になろうとしていますので、そろそろ投資家のための情報整備に取り組む必要があります。 東証の規制に従うという受動的な対応でなく、JREIT側から打って出るという積極的な対応が求められます。
又、どのような情報が投資家にとって必要なのか、銘柄選別のためには、どのようなポイントで比較すれば良いのかという事も一度整理する必要もあります。
こうなると、JREITが集まって協議するような場なり団体が必要となりますが、今のところそのような団体も機関もありません。
かつて、某JREIT資産運用会社の代表者からも団体の必要性の声が上がりましたが、その時に比べて今日では必要性が高まっています。 JREITもそろそろ銘柄が出揃い、恐らく来年は、新規上場が頭打ちになるだろうと思われますので、この辺りで基盤整備を始めるには、丁度良い時期だと思われます。 そのためには何処かが音頭を取る必要がありますが、JREIT銘柄からは難しそうですので、金融庁なり東証に動いて貰うのが良さそうです。
今の状況を見れば「投資家のための情報開示」を真剣に考える事は、銘柄とってもメリットがありますし、又、投資市場の整備にも繋がることですので、従来の業界団体の考え方の枠を超えて検討すべきだと思います。
|