9/20発売の週刊文春(9/28号)に、日本コマーシャル投資法人とモルガン・スタンレー証券とのIPO引受主幹事に関する経緯についての記事が掲載されました。
この記事については、私にも事前取材があり、内容の説明を受けた上でコメントを求められましたので、いくつかの視点から意見を述べましたが、従来から憂慮していた利益相反について別の角度からもチェックする必要を感じました。
JREITの利益相反については、専ら、オリジネーターとの取引を中心にしてウオッチしていましたが、引受証券会社が営業の一環で物件供出と主幹事をバーターするという話を聞いて、複雑な思いを持ちました。
文春に書かれている内容では、モルガン・スタンレーの不動産私募ファンドが保有している物件を日本コマーシャル投資法人の組成物件として譲渡し、その見返りとして引受主幹事の地位を得たとされています。
更に、その譲渡価格が高いのではとの感触を述べています。
この記事が何処まで正確なのかは、私には分かりませんが、仮にこの記事の通りだとすれば、「非常に好ましくない」と言えます。
文春では、モルガン・スタンレー証券の姿勢を問題にしていますが、私は、日本コマーシャル投資法人の対応の方が気になります。
日本コマーシャル投資法人のIPO時の資産は34物件で1,917億円(取得価格総額)とJREITのIPOの資産規模としては日本ビルファンド投資法人に次ぐ規模となっています。
保有資産の内容を見ると中規模オフィスビルが多くなっていますが、果たして、ここまで集める必要があったのかという疑問が残ります。
最近のJREIT市場を見れば、新興銘柄に対する評価には厳しいものがありますから、出来るだけ資産を厳選し、且つ、パフォーマンスを高くするというのがIPOの戦略だと思います。
日本コマーシャル投資法人がこの戦略を持てば、無理して物件を集める必要もなく、又、高値で取得するのも避けるべきなのです。
仮にこの考え方に立てば、モルガン・スタンレーサイドから無理して物件供給を受ける必要もなく、文春に書かれたような経緯は生じなかったと思います。
証券会社が自分達のビジネスのために色々な手段を講じるのは残念ながら避けられませんが、JREIT投資法人は投資家のための仕組みですから、自らで投資家の利益を優先するよう律すべきなのです。
オリジネーターとなっているパシフィック・マネジメントは、既に、日本レジデンシャル投資法人を設立していますから、JREITの事情や市場の趨勢については理解出来ているはずですので、今回のような疑義を持たれるような事自体問題なのです。
又、昨年7月からのJREIT市場を見れば、日本コマーシャル投資法人のIPO及び上場後の株価の行方には厳しいものがあるという認識があったはずですので、もっと慎重に事を運ぶべきだったと言えます。
私もこの件に関しては、何れ日本コマーシャル投資法人の資産運用会社であるパシフィック・コマーシャル・インベストメント(株)に尋ねたいと思っておりますし、又、その内容を元にして評価書を作成したいと考えています。
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