涼風が立ってきて少しずつ秋らしくなってきましたが、今秋以降のJREITの動きには目が離せません。
先ず、日銀の金利引上げによる影響は、幸い長期金利が低いままで推移しているために、当面、配当利回りのスプレッド調整は遠のいていますが、日銀による2度目の金利引上げが何時あるのかという点が気になります。
次に、この7月からJREITの株価が調整局面に入っているようですが、この調整局面が何時まで続くのか、又、現在の株価水準を支えている外国法人の動きがこれからどうなるのかという点も重要なポイントになりそうです。
更に、以前からの課題である投資家層の拡大が思うように進んでおらず、依然として個人投資家が減少の一途を辿っているようです。 個人投資家については、700万人とも1,000万人とも言われている団塊の世代の定年退職が来年から始まりますので、この層を取り込むことが出来なければ、JREIT市場の拡大は覚束ないとも言えます。
そして市場に大きな影響を与えている、金融庁による投資法人及び資産運用会社への監督強化の動きも気になります。 JREIT株価に大きな変動を与えたオリックス不動産投資法人は、行政処分が確定したことで株価も持ち直しつつあるようですが、次の検査対象となる投資法人と検査の推移も市場のボラティリティの要因になります。
最近の情報では、野村不動産オフィスファンド投資法人と東京グロースリート投資法人に検査に入ったようですが、どのような検査結果が出るのかと他の資産運用会社も固唾を飲んで見守っているようです。
尤も、金融庁の最近の姿勢は個人投資家にとっては心強い味方であり、又、市場にとっても中長期の視点で見ればプラス面が大きいと考えられますので、金融庁には頑張って欲しいとも思います。
更に、東証でもJREITに関する規制等を見直す方向に動いているようですので、これらの外的要因によって一時的に株価が乱高下するかも知れません。
既に、これらの動きよってJREIT株価はセンシティブな動きになっていますので、JREIT全体の株価水準の変動を見極めるのは難しいかも知れませんが、個々の銘柄を吟味するには良い機会になりそうです。 金利引上げの影響度は銘柄によってかなり異なりますし、行政処分については、同種の問題の少なそうな銘柄を探すという事も考える必要があります。
以上のように、今秋以降のJREITは一本調子に上がるという状況は考え難いですので投資家にとっては、個々の銘柄吟味と自らの投資スタンスに合った銘柄の抽出という作業が求められることになりそうです。
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