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2006. 7. 20.Up Dated.
投資法人の体制について

7月14日に日本レジデンシャル投資法人より関東財務局長から業務改善命令を受けたとの発表がありました。内容は、日本リテールファンド投資法人、オリックス不動産投資法人と同じく、役員会の開催手続きと開催形式について投信法違反があったと記載されています。
本件については、この4月に日本レジデンシャル投資法人が直前で投資法人債発行を中止した時に予想された内容であり、投資法人側から当局へ申し出ての処分という経緯のようです。投資法人の役員会開催の問題については以前にコラムで触れましたので割愛しますが、日本レジデンシャル投資法人も日本リテールファンド投資法人に続いて、資産運用会社代表者が投資法人の執行役員を兼務することを外すと発表しています。
既に処分勧告を受けているオリックス不動産投資法人も執行役員兼務になっていますので、恐らく、こちらも同様の対応を採ると予想されますが、この流れは、JREIT全銘柄に波及しそうです。
今回のような投資法人の役員会開催形式についての問題は、大半の銘柄が抱えていると想像されますので、この機会に自ら精査して然るべき対応を採るのが得策だと思います。証券取引等監視委員会の投資法人に対する検査はこれからも引き続き行われるはずですので、今後も、役員会開催形式で法令違反を続けていれば、確信犯と見なされてしまいます。
又、この問題は投資法人の監督役員の責任にも波及すると考えられます。
監督役員には弁護士資格を有する人が就任するケースも多くなっていますが、このような法令違反を見過ごしていたのでは何の為の監督役員就任か分からなくなります。元々、JREITの仕組みでは投資法人は投資の受け皿(ビークル)として設立されており、その機能は投資家保護のみを期待されている組織でもありますから、最低でも、形式的な法令違反だけは避けなくてはなりません。
尚、この件を発端として、投資法人の役員体制の見直しが始まっていると考えられますが、特に、新興銘柄には素早い対応が求められます。現状の市場評価を見ていると減点主義になっているとも言えますので、直ちに対応すべき事を放置して問題が発覚してしまうと株価に大きな影響を与えかねません。
今の所、投資家からは目立った動きはありませんが、これ以後も今回と同様の問題を放置していれば、株主代表訴訟もあり得ますから、投資法人の役員にとっては深刻な問題となります。一方、投資法人内部からみると、この問題は役員の人選と調達を更に難しくしますが、元々、投資法人の体制を安易に考えていた銘柄も多いので、少しは悩んで欲しいと思います。
又、投資法人の役員に就任している方も、報酬が少ないとは言え、JREITに対する見識を深めるという努力も必要です。内部の話だけを聞くのだけでなく、外からの意見も聞くようにしたり、投資家の声に耳を傾けたりする機会を持つ必要もありそうです。
本来、このような事は、敢えて言う程の事ではなく常識の範囲内なのですが、JREITでは未だコモンセンスが確立していない面もありますので、億劫がらずに関係者が行動で示して欲しいと願っています。

 
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