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2006. 7. 6.Up Dated.
J-REITの上場審査
 
 現在、東証・大証・ジャスダックに上場しているREITは36銘柄があり、更に、8月4日には日本アコモーデションファンド投資法人が37番目の銘柄として東証へ上場する予定になっています。先頃、エコロジー・リート投資法人が上場中止を決めた事もあって年内に40銘柄を越える可能性は微妙になっていますが、現在、上場準備中の銘柄が予定通り上場してくれば、45銘柄程度にはなるかもしれません。
銘柄数が増える事はJREITの拡大発展を意味しますが、一方、現在、市場株価がIPOの公募価格を下回っている銘柄が13銘柄あります。このように上場銘柄数の約3分の1が公募価格割れをしている状況は、市場に淘汰力のある証だとも言えますが、見方によっては上場審査が甘いということも言えます。
JREIT投資法人の設立には、先ず、資産運用会社の認可を得てその後に投資法人を設立しますが、その後はほぼ自動的に上場まで来られます。 今までに上場出来なかったのは、エルシーピー投資法人とエコロジー・リート投資法人ですが、この両者は銘柄側の判断で、一旦、上場を見送ったに過ぎません。

JREITは長期投資型の商品ですので、1年程度の株価推移で上場の是非を論ずるのは早計かも知れませんが、JREIT誕生から僅か5年程度で上場銘柄数の3分の1が公募価格割れを起こすという事は市場にとって好ましくありません。JREITに進出してくる銘柄にとっては取り敢えず上場さえ出来れば良いという考え方も成り立つますが、投資家にとっては随分と迷惑な話だとも言えます。 元々、JREITの投資判断情報が少ない所で、新規上場銘柄の公募価格割れが続けば投資家はより慎重になります。 特に、個人投資家はJREITに対しては懐疑的になっているかもしれません。
かつてのJREITのように全銘柄が横並びで評価されるのも問題ですので、数銘柄が低迷するのは仕方ないとも言えますが、2桁の数の銘柄が低迷しているのは何処かに問題がありそうです。 更に、これから先を考えると、公募価格割れを起している銘柄は今後どうなるのか、そして、今秋以降に上場してくる銘柄で更に低迷銘柄が増える事も予想されますから、JREIT市場に更にストレスが溜まるかもしれません。
東証は、上場させた後は投資家と市場に任せるしかしないという事なのかも知れませんが、そろそろ新規上場銘柄の上場審査を厳しくして、安易な上場と、最初から公募価格割れを覚悟しているような投資法人の上場を規制する必要があるとも思います。  
 
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