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2006. 6.15.Up Dated.
膨張するJ-REIT!?
 
 現在、JREITは34銘柄が上場しており、時価総額は約3.4兆円、保有資産総額は約4.3兆円になっています。 この後にも3銘柄の上場予定が発表されていますので、このペースで推移すれば、来年の上半期には保有資産総額は5兆円に達すると予想されます。
一方、投資家から見ると、これだけの銘柄数になるとどの銘柄を選べば良いのか、それぞれの違いは何かを考えるだけで大変な労力を必要とされます。 又、JREITは不動産投資をベースにした商品スキームだと理解して、どのような不動産に投資しているのかを見ようとすると、既に、日本全国に1,000物件以上保有しているという現実があります。

このように考えると、これからJREIT投資を始めようとする投資家にとって、選択肢が非常に狭くなります。 安全性を重視して、無難に人気があり市場評価の高い銘柄を探すと、それらは軒並み100万円/口の株価になっています。 JREITは1口100万円もするのか? と驚く人も居ると思いますが、本来は50万円/口が基準価格(分割銘柄を除く)ですので、これらの高株価銘柄は市場人気によって100万円にまで上昇した訳ですから、この辺がピークという見方も出来ます。 それでは、50万台・60万円台の銘柄の中で探すと、10銘柄程度ありますので、どれを選ぶのかという難しさがあります。 こうなると、高株価でも人気のある銘柄を選ぶか、又は、証券会社等の薦める銘柄を選ぶかぐらいしか選択肢がありませんので、結局は、もう少し様子を見ようという判断になりがちです。

JREITの決算発表を見ると、決算毎に投資家数が減少しているのが目に付きますが、現在の投資環境を見れば当然の帰結だとも言えます。 初期の頃に投資を開始した個人投資家は、株価の高騰によって売却益を得ようとしますし、売却後にどの銘柄に乗り換えるかという判断が難しいので、再投資を躊躇いますから、投資家数は減少します。 一方、新たに投資を開始しようとする投資家は、銘柄選びが難しくて尻込みするでしょうから、なかなか数が増えません。 銘柄側が主張するように「投資信託が間接的に個人投資家を増やしている」という見方も出来ますが、元々、JREITは個人投資家を対象にしたミドルリスク・ミドルリターン商品として誕生したのですから、現在の状況を了とする理由にはなりません。 特に、投資家の支持によって高株価を実現した老舗銘柄の責任が重いはずです。

上場して5年も経ちながら、これと言った投資家層の拡大策も採らずに、今日まで来てしまっていますが、既にJREITは40銘柄にもなろうとしています。 これは、JREITの発展と言うよりは、膨張、又は、水脹れだとも言えなくはありません。 金融環境の変化や収益用不動産価格の上昇というJREITを取り巻く環境にも変化が生じている今日、投資家への働きかけはますます重要になってきますので、知恵を出して欲しいと思います。
 
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