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2006. 6. 1.Up Dated.
J-REIT銘柄の増加
 
  2006年にJREITに進出してきた銘柄は、既に5銘柄に達し、今後も3銘柄の上場が発表されています。 これでJREITは36銘柄にまで増えることになりましたが、年内には未だ数銘柄の上場がありそうなので、年末には40銘柄を越えているかも知れません。
私の見込みは、2006年末で40銘柄弱でしたが、予想を上回りそうなのは、相変わらず私募ファンドからのJREIT進出が続いている為です。
先行銘柄の実績を見ると、私募ファンドからJREITに鞍替えしても上場後の株価は低迷し、公募割れを覚悟しなくてはならない状況にも拘わらず、依然として、私募ファンドのJREIT進出が続いているのは、上場目的が変質してきているのかとも思われます。
既に、私募ファンドはノン・リコースローンの調達が苦しくなってきており、金利先高感もあって 私募の運営に翳りも出ていますので、将来の償還に不安を感じて、出口としてJREITを利用しているとも考えられます。
従って、穿った見方をすれば、JREITに鞍替えすれば所期の目的は達成されますから、上場後の株価や運営には重きを置いていないという勘繰りもしたくなります。

 JREITを冷静に、且つ、真面目に考えれば資産運用を行う運用会社の体制を構築するのは難しくなっています。 資産運用会社は概ね20名程度の専門家によって構成されていますが、仮に、40銘柄になれば、JREITの資産運用を行う人員は20×40で800名になります。 JREIT内部と関連業界を見れば、投資家の負託に応えて資産運用業務を行えるプロの数は、多く見積もっても200名程度しか居ないのが実状です。 その上、JREITの資産運用には経験の蓄積が必要ですから、資産運用のプロと言われる人は先行既存銘柄に偏った状態になっていますので、新規上場銘柄の資産運用会社は、上場後から勉強という事になります。
投資家のリスクで資産運用業務を行う人達がこれから勉強では投資家は堪ったものではありません。

 今まで不動産ファンドが悉く成功したのは、異常な低金利と、金融市場と不動産市場の要求利回り格差のお蔭だとも言えます。 然しながら、既に実勢金利は上昇を始め、今年後半には日銀の利上げも予想される金融情勢に変わりました。 又、不動産市場での要求利回りも、既に限界値にまで下がってきていて、金融市場に持ち込んでも利鞘が稼げなくなって投資適格物件が極端に不足しています。 即ち、今までの不動産証券化ビジネスは誰がしても成功する確率の高いオートマティック・モデルでしたが、これは既に過去のものとなっています。 実情に疎い証券会社は、これらの事を見抜けず、次々と上場に手を貸し、投資家に投資口を売り捌いていますが、こちらも自社の利益しか眼中にないのかも知れません。 私募ファンドからのJREIT鞍替えと、それを後押しする証券会社によって、JREITが百鬼夜行となるのも時間の問題ではないのかと心配しています。

 
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