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2006. 5.11.Up Dated.
投資サービス法
 
 投資家保護策として以前より検討されていた投資サービス法(金融商品取引法)が国会で審議に入り、順調に進めば来年夏頃に施行される見通しになりました。
この法律は、金融商品の販売を包括的に規制する法律で、販売側が投資家に対して投資リスク等を詳細に説明する義務を課します。
今日では、金融機関や郵便局の窓口で投資信託が売られていますし、かつて多くの訴訟を招いた変額保険も金融機関が取り扱っていますので、これらの金融商品に付随するリスクを投資家にきちんと説明させ、且つ、不適切な販売により投資家が損失を蒙った場合は損害賠償請求も受けることになります。

 この法律が施行されるようになると、証券会社・金融機関等は投資家への説明マニュアルの改訂と説明員の再訓練が必要になると思われますが、中でも、JREITを対象とした投資信託の販売が難しいのではと思われます。
金融機関等の社員は、業務上からも一定度の金融知識は備えていると思いますが、不動産知識となると一般並なのではないかと考えられます。
以前に某大手証券会社の方から聞きましたが、証券会社の社員は金融商品に対しては顧客に説明出来るレベルにあるものの、不動産となると全くの素人が多い上に、最近では不動産投資についての質問も多く困っていると言っていました。
 
 JREITのように金融商品ではあるものの、不動産投資リスクを内在している商品の場合、金融リスクと不動産リスクの両者を説明する必要がありますが、これを詳細に説明するとなると、上場銘柄の目論見書に記載してあるような、相当な量(A4版で23頁分程度)の情報が必要となります。更に、一つ一つのリスクを口頭で説明するとなると、かなり訓練しなくては難しいですので、工夫も必要です。
 以前、筆者が不動産会社に勤務していた頃に、ビデオで重要事項の説明を行った上で、更に、担当者から再度説明を行うという方法を採った事がありますが、これも一つの方法です。
担当者の説明だけでは内容に差が生じかねませんので、先ずモデルとなる説明を行い、その上で個別に担当者から説明させれば、バラつきを抑止出来ます。
 既に、JREITを含んだ投資信託は郵便局でも販売されていますので、証券会社も金融機関も一段の工夫が求められるようになりますが、説明義務が厳しく、説明内容も難しい不動産販売の手法が参考になりそうです。

 投資リスクというものは大半が不確定要素ですので、説明の仕方によっては買わない方が良いというニュアンスになってしまう可能性もありますので、投資サービス法の施行を機に、再度、投資の原点を見つめて、そこから説明方法を再構築する必要がありそうです。
 
 
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