日銀の量的緩和解除により金利が上昇しており、10年物長期国債の利回りが1.7%台にまで上がっています。
大口投資家にとって、長期国債の利回りとJREITの配当率のスプレッドとの関係は気になるでしょうから、その影響度は無視出来ません。
今のところ、JREIT株価に目立った動きはありませんが、恐らく上がったとしても2%程度までの緩やか上昇であろうと考えられているのかもしれません。
確かに、2%程度迄時間を掛けて緩やかに上昇していくのであれば、JREITも一定の対応が可能ですが、仮に2%を越えて3%ぐらいまで長期金利が上昇した場合について考えてみると次のように言えます。
現在のJREITの予想配当利回り (3/15の終値換算)
- ◇2%台の銘柄
- プロスペクト・レジデンシャル投資法人(2.29%)
フロンティア不動産投資法人(2.61%)
日本ロジスティクスファンド投資法人(2.74%)
- この3銘柄は、当然ながら株価の調整によって、配当利回りを上昇させる必要がありますが、プロスペクト・レジデンシャル投資法人は45万円/口前後の株価なので調整余地がないとも言えます。
フロンティアと日本ロジスティクスは現在の株価の7割以下(55万円前後)に下げる事で調整可能とも言えます。
◇3%台の銘柄
- ジャパンリアルエステイト投資法人(3.16%)
東急リアル・エステート投資法人(3.20%)
野村不動産オフィスファンド投資法人(3.20%)
阪急リート投資法人(3.36%)
日本リテールファンド投資法人(3.43%)
日本プライムリアルティ投資法人(3.47%)
日本ビルファンド投資法人(3.48%)
森トラスト総合リート投資法人(3.56%)
ジャパン・シングルレジデンス投資法人(3.56%)
グローバル・ワン不動産投資法人(3.65%)
プレミア投資法人(3.76%)
ジョイント・リート投資法人(3.91%) オリックス不動産投資法人(3.92%)
3%台の銘柄は13銘柄ありますが、このうち、市場評価の高い高株価銘柄(太字の100万円/口超の銘柄)は9割程度の株価に調整される事で、1%程度のスプレッドを確保することは可能ですが、現在の高株価が相対的に高い配当金によって形成されているのか、それとも保有資産の質を含めて優良銘柄として高株価を形成しているのかを見極める必要がありそうです。
勿論、この事は他の銘柄にも当て嵌まることですが、現在のJREIT株価は、指標となる長期国債の利回りとのスプレッドが充分に確保されているという環境の中での動きであるとも言えます。
今後、長期金利の上昇によって配当利回りとのスプレッドが縮小していけば、よりシビアに銘柄の質を吟味するようになるとも考えられますので、その意味では、金利上昇も長期的な観点に立てばJREITにとって必要なのではないかとも考えられます。
|