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2006. 3. 2.Up Dated. |
J-REITの資産取得ペース |
2005年のJREITの資産取得状況を振り返ってみると、次のようになりました。
以上の数字を見ると分かるように、JREITは新規・既存銘柄両者で年間1兆円以上の不動産を取得していることになります。 一方、今年の資産の追加取得ペースは昨年よりも落ちていますが、それでも全体で1兆円程度の資産を取得するであろうと考えられます。 不動産市場にとって年間1兆円を買うJREITの存在は、正に最大の買い手であり、市場をリードしていることは確実ですが、果たしてこのペースは何時まで続くかという点が気になります。 JREITの資産規模拡大の予測 2005年末時点の1銘柄当の資産規模は約1,200億円になっていますが、この数値は将来的には2,000億円程度迄伸びると考えると、将来の銘柄数を50銘柄と想定すれば、資産規模は10兆円が一つの目安となります。 この前提で資産規模の拡大を予測すると、今後のJREIT買い需要は6.6兆円もあることになります。 又、50銘柄に達するのを2008年と見込むと、今後4〜5年間は、JREITは年間1.5兆円前後の買い需要を不動産市場にもたらすとも考えられます。 この事が何を意味するかは色々な見方が出来ますが、仮に、JREITが節度ある資産取得を続けるとすれば、少なくとも2010年ぐらいまでは不動産価格は堅調に推移するであろうと考えられます。 但し、早合点して不動産価格が上昇するという見方は間違いです。 JREITの取得価格は投資家への配当率との関係で決まりますので、現在の金融状況では、取得利回りを落とすような取得を続けると金利上昇に対して抵抗力が弱まりますから、不動産市場参加社の思惑による価格上昇には追随しないと考えられます。(取得ペースを落として物件選別化傾向を強める) 前述の2010年ぐらいまで不動産価格が堅調に推移するという意味は、金融政策等の影響等によって不動産価格が大幅に調整されるような事態は起こらないという見方であり、簡単に言えば、バブル崩壊のような不動産価格の下落はあり得ないという事になります。 不動産業界にとってこの事は大変意味のあることだと思います。 過去、不動産業界では不動産価格の将来見通しが最も困難で、且つ、不確実性が高く経営の不安定要因でしたが、数年先の不動産価格が論理的に推論出来るようになれば製造業等のような設備投資計画が立案できますので、3〜5年の長期経営計画の精度を上げる事が可能となります。 JREIT創立時を振り返ってみると、三井不動産と三菱地所が敢えてJREITに進出してきたことが漸く実を結ぼうとしているのではないかとも思います。 |
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