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2006. 2.16.Up Dated.
J-REITの流動性
 
 東証が発表した昨年の「投資部門別不動産投資信託証券売買状況(口数)」を見ると、05年の合計取引口数は、

売り口数 買い口数 差引 売り買い合計
2,850,583口 2,863,024口 12,441口 5,713,607口
となっています。 (データは資本金30億円以上の総合取引参加者の取引口数)

一方、05年末時点で東証に上場していたJREIT銘柄の発行投資済口数は、
3,972,911口となっていますので、この数字を使って流動性を見ると次のようになります。
売り・・・・・・0.72倍
買い・・・・・・0.72倍
売り買い合計・・1.44倍
 次に、JREITでは株式のように持合いという構造がなく、流動しない投資口はオリジネーターの保有口数だけだと考えると、オリジネーター保有口数は発行済投資口数の約7%程度だと推定されますので、このオリジネーター保有分を引いて流動性を修正すると次のようになります。

売り・・・・・・0.77倍
買い・・・・・・0.77倍
売り買い合計・・1.55倍
 この数値が大きいか小さいのかは、株式と比べて見ると分かりますが、残念ながら株式のデータが入手出来ませんでしたので正確には論じられませんが、恐らく、流動性としてはかなり小さいのではないかと思われます。
元々、JREITは長期投資商品ですので、投資家は原則として1年以上は保有する人が多いと考えられますから、1年間のデータで、この程度の流動性は納得出来るとも思います。

 次に気になるのは、この流動性を前提とした市場株価の動きです。
JREITの売買を日計単位で見る為に、05年の平日数245日で割ると、次のようになります。
売り買い合計・・・23,320口 (流動性のある発行済投資口数の0.63%)
又、株価が高い日本ビルファンド投資法人の売買を見ると、多い日には2,000口程度の取引がありますが、これも日本ビルファンド投資法人の発行済口数から見ると0.5%にも満たない数です。
その他の銘柄では0.2%前後という売買が大半です。
勿論、これだけのデータで即断は出来ませんが、JREITの投資元本価値を時価だけで見るのはやや疑問が残ります。
JREITを長期投資として見ている投資家にとって、株価だけを頼りに投資元本を考えるのではなく、やはり純資産価値等を含めて総合的に元本価値を見て投資判断を行う事が必要なのではないかと思います。